原子の組み合わせで物が形作られていることは、今となっては当たり前のことです。
哲学が始まったばかりの2400年以上も前、
「この世は原子でできている」
と論じた哲学者がいました。
彼の名はデモクリトス。
哲学界では有名なソクラテスと同世代の人物です。
デモクリトスの原子論
彼はこの世は全て、これ以上分割できないもの(原子:アトム、アトモン)でできていると言いました。
もう少し詳しく言うと、
「空間(ケノン)という無限なものの中で、原子(アトモン)が運動をしながら世界を構成している。」
というもの。
原子の運動にまで触れているとは、かなり確信をついていたんですね。
この原子論は、デモクリトスの師であるレウキッポスの初期原子論を元に完成させました。
現代科学との違いは、
感覚や意識、魂さえも原子でできている
と考えたことです。
幸福=魂原子の安定
原子論でいうところの幸福とは、原子が安定していること。
魂原子には向きや配列、形態があり、それは教育や環境によって変わっていく。
その時々によって原子が安定する状態を探し出すことが幸福に繋がると考えました。
しかし当時は顕微鏡も発明されていない時代であり、誰もそれを確認する術はありませんでした。
結局、他の哲学者やソフィスト(弁論者や詭弁者たちの総称)に論破されてしまい、原子論の影は薄くなっていきました。
それでも、
「人間は生まれながらにして資質が決まっている」
と言われていた従来の哲学に、
「人の資質は人生の中で変わっていく」
という新たな考えを植え付けていきました。
後にゼノン率いる「ストア派」と、エピクロス率いる「エピクロス派」にもこの原子論の考えが受け継がれていくことになります。
晩年、盲目となったデモクリトスは、「心の目で見えるものは真であり美しい」と述べていたそうな。
死期を悟ると自ら食事を切り詰め、最後は断食によって自ら死を受け入れたそうです。
そんな彼の好きな名言をひとつ…。
「順境において友を得るは易く、逆境において友を得るは難し」
自分が絶好調な時に味方は簡単に増えますが、逆境において味方を増やすことは困難。
逆境でも味方してくれる友がいるように生きていけ。
という意味も含んでいると勝手に解釈しています。
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