ストレスは私たちの日常生活の一部であり、大切な試合や発表、会社からの重要な要求に直面したときに自然に起こる反応です。
短期間のストレスは必要な場面もありますが、長期間にわたるストレスは心身に大きな負担を与える可能性があります。
本記事では、ストレスが身体に与える影響と、その対処方法について詳しく解説します。
参考記事)
・The Effects of Stress on the Body, From Your Brain to Your Stomach(2025/01/16)
ストレスとは何か?
ストレスとは、課題や要求に対する身体的および感情的な反応のことです。
危険に直面したとき、脳は化学的信号と神経信号を副腎に送ります。
副腎は腎臓の上部に位置する小さな腺で、コルチゾールやアドレナリンなどのホルモンを分泌し、これらのホルモンは次のような身体的変化を引き起こします。
• 警戒心の向上:外部の危険に対して敏感になる
• 血圧の上昇:身体の酸素供給を迅速に行う
• 血糖値の増加:エネルギー供給を促進する
• 呼吸数の増加:酸素供給を増やす
• 心拍数の増加:全身への血の巡りを良くする
• 筋肉の緊張:瞬発的に動けるよう強張る
• 発汗:体温を調節する
このような反応は、短期的な危険や課題への対応には有益ですが、ストレスが長期にわたる場合(慢性ストレス)、心身に悪影響を及ぼします。
慢性的なストレスが身体に与える影響
長期間にわたるストレスは、以下のような身体の部位やシステムに悪影響を及ぼします。
1. 呼吸と喘息への影響
ストレスや強い感情は喘息を引き起こす主要なトリガーです。
喘息を持つ人では、これらが症状を悪化させる可能性があります。
ストレスは呼吸を乱し、筋肉を緊張させ、呼吸数を増加させます。
喘息を持たない人でも、息苦しさや不快感を感じることがあります。
対策法
• 「7秒吸う→7秒止める→7秒吐く」
ストレスを感じたら、リラックスできる環境でこの方法を3回繰り返してください。
副交感神経が優位になり、緊張が和らぐことが知られています。
2. 胃腸障害と消化への影響
ストレスホルモンは消化機能を妨げ、以下のような消化器系の問題を引き起こします。(How to Calm an Anxious Stomach: The Brain-Gut Connectionより)
• 便秘
• 下痢
• 消化不良
• 食欲不振
• 胃の痙攣や痛み
• 胃潰瘍
特に、過敏性腸症候群(IBS) では、ストレスが症状の悪化要因となることが分かっています。
この状態では、腹痛、便秘、下痢が交互に現れます。
3. 髪の毛の脱毛
ストレスフルな出来事(離婚や家族の死など)の後、一時的に髪が抜けることがあります。(HAIR LOSS: WHO GETS AND CAUSESより)
ストレスが軽減されると、髪は通常6~9か月以内に再び成長します。
また、ストレスや不安が原因で、抜毛症(トリコチロマニア) という状態になることもあります。
この症状では、無意識に髪を抜いてしまう行動が見られます。
治療法には、次のものが含まれます。
• 認知行動療法(CBT)
• 習慣逆転トレーニング
• 必要に応じた薬物療法
4. 心臓と循環器系への影響
ストレスによる心臓や脳への負担は深刻で、特に慢性的なストレスは以下を引き起こします。(THE IMPACT OF STRESS ON BODY FUNCTION: A REVIEWより)
• 高血圧
• 高コレステロール
• 心臓発作
• 脳卒中
職場内で高いストレス(心理的負荷が高い状態)に晒されていると、脳卒中リスクが22%高いと報告されています。
また、 仕事での制御感の低下やタイムプレッシャーも、心疾患リスクを増加させます。
対策法
• 塩分や飽和脂肪を控えた食事を心がける
• 定期的な運動を習慣化する
• 必要に応じて、職場でのストレス管理トレーニングを提案する
5. 睡眠障害(不眠症)
ストレスは過覚醒状態を引き起こし、眠りにくくなります。
これはいわゆる不眠症と呼ばれる状態で、睡眠の質を著しく低下させます。
睡眠を十分にとるためには、以下のような行動が推奨されています。
• 寝る直前に満腹になるほどの食事を避ける
• 午後以降のカフェイン摂取を避ける
• 就寝時間と起床時間を一定に保つ
• 寝室を静かで涼しい環境にする
ヨガや瞑想、認知行動療法(CBT)は、ストレス軽減と不眠症改善に役立ちます。
6. 仕事や学業への影響
ストレスは集中力を低下させ、仕事や学業のパフォーマンスに影響を与えることがあります。(Learning and memory under stress: implications for the classroomより)
特に試験や締め切りに関連するストレスは学習や記憶力を損なう可能性があります。
対策法
• 時間管理を強化し、優先順位を明確にする
• 適度な運動やリラックス活動を日常に取り入れる
7. 皮膚トラブル
ストレスはニキビや乾癬(かんせん)などの皮膚症状を悪化させます。(CAN STRESS WORSEN PSORIASIS?より)
特にストレスが増加すると、ニキビの重症度が高まることが確認されています。
対策法
• 高糖質、高脂質な食事、甘い飲み物を避ける
• ストレス軽減のための瞑想やリラクゼーションを取り入れる
• 必要に応じて医療機関に相談する
ストレス管理の方法
これらの研究記事を総合すると、ストレスの管理には以下の方法を試すことが推奨されます。
0. 大前提として食事の改善(暴飲暴食を控え、1日の追加の砂糖摂取を25g以下に抑える)
1. 定期的に運動をする( 目標:毎週150分以上、最低20分程度のウォーキングでも効果あり)
2. 瞑想やヨガでリラックスする
3. 十分な睡眠を確保する(理想は毎日7時間以上)
4. 時間管理スキルを向上させる
5. 友人や家族に助けを求める
まとめ
・慢性的なストレスは身体と心の健康に深刻な影響を与える
・適切なストレス管理方法を取り入れることで、健康リスクを軽減できる
・医療専門家に相談することも、ストレス対策として重要
また、上記以外のストレス対策においては、“対処法を知っている”ということも大切です。
ストレス対策を行動に移せるかどうかは別として、自分がストレスで悩んでいる場合に「解決方法があるんだ」という希望を持つことは、ストレス緩和に大きく貢献します。
そんな時にはストレス緩和の方法を思い出してみると気が楽になるでしょう。
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