日本人もアメリカ人も、平均的な砂糖摂取量は、WHOが推奨する1日当たりの基準(25g/日)を大幅に上回っています。
厚労省が発表している令和6年度の砂糖の消費量目安では、日本人は1970年半ばをピークに年間の摂取量が減っているものの、2022年時点での砂糖の摂取量は1日平均42gとなっています。
今回の研究はアメリカにおける砂糖摂取とそのリスクについてフォーカスされていますが、同じことは日本でも言えるため、記事のテーマとして取り上げたいと思います。
以下に、研究の内容をまとめます。
アメリカ人の砂糖摂取量の現状
アメリカ心臓学会(AHA)の声明では、アメリカの成人は平均して1日77グラムの砂糖を摂取していると発表しています。
これは、女性に推奨される量の約3倍、男性に推奨される量の2倍にあたります。
この量は年間で約27kg、ボウリング球(約4.5kg)6個分に相当します。
砂糖の摂取過多は体重増加だけでなく、さまざまな健康リスクを引き起こす可能性がある一方、砂糖を減らすことでエネルギーが回復し、特定の慢性疾患を予防し、全体的な健康を改善することができます。
では適切な砂糖の摂取量とはどれくらいなのでしょう?
砂糖の適切な摂取量
AHAは、女性は1日6ティースプーン(25グラム)、男性は9ティースプーン(38グラム)までの添加糖を摂取するよう推奨しています。
添加糖はお米やパンなどの主食以外から得る、追加された糖のことです。
(例:ソーダ、キャンディー、コーヒーに加える砂糖など)
お菓子やジュースなど、一部の添加糖の摂取源は明らかですが、それ以外でもドレッシングやケチャップなどの調味料なども糖の摂取源となっている可能性が高いです。
体はエネルギーを得るために、糖分(グルコース)が必要です。
グルコースは、炭水化物を分解することで生成され、自然なエネルギー源となります。
また、果物、野菜などの食品に自然に含まれる糖は体に必要な栄養素を提供する一方、品種改良で糖度を不自然に高めた果物も、余分な糖の摂取源となります。
以下に、砂糖の過剰摂取による健康リスクをまとめます。
砂糖の過剰摂取による7つの健康リスク
1. 心疾患
添加糖を摂りすぎると心疾患のリスクが高まることが分かっています。
心疾患は2021年にアメリカでの主要な死因となりました。
一つの研究では、総カロリーの17%から21%を砂糖から摂取した人は、8%未満の人と比較して心血管疾患で死亡するリスクが38%高いことが示されています。
(Added Sugar Intake and Cardiovascular Diseases Mortality Among US Adults より)
2. 糖尿病
砂糖の摂取量が多いと、二型糖尿病のリスクが高まります。
研究によると、1日150キロカロリー分の砂糖が増えるごとに、人口全体の糖尿病発症率が1.1%増加するとされています。
3. がん
一部の研究では、砂糖の過剰摂取と特定のがんとの関連が指摘されています。
砂糖は、体重増加、炎症、インスリン抵抗性を引き起こし、これらががんリスクを増加させる可能性があります。
(The Links Between Insulin Resistance, Diabetes, and Cancer より)
4. 肌のトラブル
砂糖の摂取過多は肌の健康にも影響を与えます。2020年に約25,000人を対象とした研究によると、高脂肪や高糖質の飲料を摂取する人は、ニキビが増える可能性が高いことが分かっています。
(Association Between Adult Acne and Dietary Behaviors より)
5. 痛風
砂糖を過剰に摂取すると、尿酸値が上昇する可能性があり、尿酸値の上昇は痛風などの関節炎のリスクを高めます。
痛風の主な症状には、痛みや腫れ、関節の赤み、こわばりが含まれ、この状態を感じる人は注意が必要です。
6. エネルギーレベルの低下
砂糖の摂取量が多いと、エネルギーレベルが低下することがあります。
2019年に発表されたレビューによると、砂糖を摂取した人は、摂取しなかった人よりも1時間以内に疲労感や注意力の低下を感じやすいことが分かっています。
また、砂糖を摂取することで気分が良くなるというポジティブな効果も確認されませんでした。
(Sugar rush or sugar crash? A meta-analysis of carbohydrate effects on mood より)
7. うつ病
砂糖の過剰摂取は、うつ病のリスクを高める可能性があります。
60,000人以上の女性を対象とした研究では、添加糖の摂取量が最も多い女性ほど、うつ病になるリスクが高いことが報告されています。
砂糖摂取量を減らすための方法
個人的な考えですが、砂糖の摂取量を減らす有効な方法としては、そういった砂糖による害や病気などの知識に触れ続けることを強く推奨します。
お菓子の量を減らすなどして、添加糖の摂取量も少しずつ減らすということも良いかもしれませんが、自分にとっては効果が薄かったです。
それよりも、砂糖に関する論文や研究に触れ続けることでモチベーションを保ち続ける方がよっぽど楽で達成感もあります。
添加糖を止めるということは、砂糖を原料とするお菓子に含まれる油脂や添加物なども大幅に断つことができるということになります。
自分はこれを1ヶ月ほど続けてたタイミングから、便通をはじめとする身体のだるさなどの不調の改善が体感できました。
もちろん、砂糖以外の不要なものの摂取が控えられたことなども否定できませんが、一度この状態になると一日中元気な上、夜も快眠です。
この状態になると、何かのタイミングで甘いもの食べた際に、ダルさや何かしらの疼痛、慢性痛に繋がりそうな違和感などが現れるため、甘いものを食べることが嫌になります。
とは言え、一気に甘いものを断つことができないというのが多くの人の悩みでしょう。
そういった減糖の第一歩としておすすめなのは、「甘い飲み物を断つ」ことです。
特にコーラやペプシなどの炭酸飲料とアクエリアスやポカリなどのスポーツドリンクです。
まずは甘い飲み物は完全にシャットアウトするところから始めました。
それから一年ほど経過した後、完全に欲さなくなったことを成功体験に、他のものは簡単に止めることができました。(その代わりにコーヒーにどハマりしてしまいましたが……。)
これが万人に当てはまると思いませんが、一つの経験談として置いておきます。
まとめ
・砂糖の過剰摂取は心疾患、糖尿病、がん、うつ病などの健康リスクを高める
・加工食品や甘味飲料に含まれる隠れた砂糖に注意する必要がある
・まず最初にやめるべきなのは甘い飲み物
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