バルセロナ健康研究所の研究から、朝食を早めに取ることが2型糖尿病の発症リスクを減少させる可能性があるという結果が報告されました。
忙しい朝に朝食を抜く人が多い中、この新しい研究では、朝食を取る時間が健康に与える影響について注目しています。
特に、朝食を8時より前に取る人は、9時以降に取る人よりも2型糖尿病を発症する可能性が低いことが分かりました。
また、夕食の時間にもリスクの差が見られ、9時や10時以降に夕食を取る人は、早めに夕食を済ませる人に比べて2型糖尿病の発症率が高いことが明らかになっています。
このような食事時間と2型糖尿病リスクの関係は、栄養バランスや運動習慣など他の要因を考慮しても一貫して見られる傾向です。
今回の記事テーマとしてまとめていきます。
参考記事)
・Eating an Early Breakfast May Reduce the Risk of Type 2 Diabetes(2024/12/28)
参考研究)
食事時間とニ型糖尿病リスク
研究を主導したAnna Palomar-Cros博士(バルセロナ健康研究所)は、食事の栄養価だけでなく、「食事を取るタイミング」が健康に重要な影響を与えると述べています。
研究チームはフランスの大規模な調査データを使用し、約10万人(うち約80%が女性)の成人を対象に、7年間の追跡調査を行いました。
調査開始時の平均年齢は43歳で、参加者は最初の2年間にわたり24時間の食事記録を記載しました。
この記録を基に、食事時間、食事の回数、夜間の断食時間とニ型糖尿病リスクの関連性を分析しました。
調査期間中、約1,000人がニ型糖尿病を発症しました。
その中で、朝食を9時以降に取る習慣のある人は、8時より前に朝食を取る人よりもリスクが高いことが分かりました。(下図左上)
また、夕食を早めに取る人は、夕食を遅く取る人よりもリスクが低い傾向が見られました。(図右上)
さらに、一日に6~7回といったように食事を小分けする人は、2~3回の食事しか取らない人に比べてリスクがわずかに低いという結果も出ています。(図左下)
特に興味深い点は、夜間の断食時間が13時間以上の場合、その健康効果が朝食を8時より前に取る場合にのみ発揮されるということです。
これにより、16時間食べ物をい胃に入れないなどの“断続的な断食”が、二型糖尿病の予防には効果的でない可能性が浮き彫りになりました。
サーカディアンリズムと食事の関係
朝食時間とニ型糖尿病リスクの関連性は、体の自然なリズム(サーカディアンリズム)が健康に及ぼす影響を強調しています。(Meal Timing Regulates the Human Circadian System より)
サーカディアンリズムとは、朝光を浴びることや、食事のタイミングなどによって調整される体内時計のことで、代謝や血糖値、ホルモン分泌などに影響を与えます。
Anna Palomar-Cros博士によれば、「サーカディアンリズムは体のほぼすべての機能に関与しており、このシステムが適切に機能することで代謝が最適化される」とのことです。
特に朝の時間帯には、体が最も血糖値を効率よく調整できるタイミングであることがわかっています。
目覚めた直後、コルチゾールなどのホルモンが肝臓に指令を出し、血糖を血流中に放出します。
その後、インスリンなどのホルモンが血糖を細胞に取り込み、血糖値を下げる役割を果たします。
この一連のプロセスがスムーズに行われるためには、朝食を取ることが非常に重要です。
また、朝食を取ること自体が健康改善に繋がる可能性も指摘されています。
ある研究では、朝食を習慣的に取る人は、血糖値や血圧の異常といった代謝症候群の症状を発症するリスクが低いことが示されています。
ニ型糖尿病を予防するための生活習慣改善
朝食を早めること以外にも、ニ型糖尿病を予防するために実践できる習慣がいくつかあります。
1. 定期的な運動を行う
週に150分の中程度の運動(例:ウォーキング、ジョギング、水泳)と、筋力トレーニングを2回以上行うことが推奨されています
2. 栄養バランスの良い食事を心がける
野菜(特に非でんぷん性)、果物、タンパク質、全粒穀物を積極的に取り入れ、甘味飲料や加工食品を避けることが大切です。
3. 朝食を取る習慣をつける
そして、本研究にて明らかになった朝食をとる習慣です。
忙しい場合でも、簡単な朝食(おにぎり一つや味噌汁など)を取ることで健康改善に繋がるとし、研究者は「何かを食べることが最初の一歩」と述べています。
まとめ
・朝食を早めに(朝食は8時より前に)取ることで2型糖尿病のリスクを減少させる可能性がある
・夜遅くの食事は避け、9時より前に夕食を取ることが理想的
・定期的な運動と栄養バランスの取れた食事など運動と食事内容も重要も健康改善には重要
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