FDA(アメリカ食品医薬品局)によれば、現在約5,000のダイエット食品や飲料に人工甘味料であるアスパルテームが含まれているとされています。
砂糖に代わる甘みとして食品に使用できるうえ、血糖値の上昇なども抑えることができる夢の甘味料として現れたこの食品添加物。
しかし、マウスを対象とした最近の研究では、アスパルテームを継続して摂取した場合、不安を表す行動が多く見られるようになったことが明らかになっています。
今回はそんなアスパルテームについての研究を紹介します。
参考記事)
・A Popular Sweetener Was Linked to Increased Anxiety in Generations of Mice(2023/12/25)
参考研究)
アスパルテームと不安障害の関連性
フロリダ州立大学による研究では、扁桃体(不安や恐怖反応の調節に関連する脳領域である)における不安様行動、神経伝達物質シグナル伝達、および遺伝子発現に対するアスパルテームの影響を報告しました。
FDAが人間に推奨する1日最大摂取量の15パーセントに相当するアスパルテームを投与した水をマウスのサンプルに自由に摂取させたところ、その後の行動テストでは不安を示す行動を示した。
驚くべきことは、その影響が動物の子孫に最大2世代にわたって見られる可能性があるということです。
この結果を受けて米国フロリダ州立大学の神経科学者Pradeep G. Bhide氏は「私たちが今目にしていること(不安障害が増えていること)は、今より2世代前、あるいはそれよりもずっと前に起こったことだ」と語っています。
不安の傾向は、数世代のマウスを対象とした様々な迷路テストを通じて測定されました。
また、神経系の重要な部分のRNA配列決定を実行して、組織の遺伝子がどのように発現されているかを調べました。
分析の結果、不安の調節に関連する脳の一部である“扁桃体”に重大な変化があることを発見した。
アスパルテームが体内に入ると、アスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールに分解されます。
アスパルテームの40%を占めるアスパラギン酸は、適量だと疲労回復効果や、炭水化物の代謝を促し、エネルギーを作り出す効果があります。(主にクエン酸回路に働きかけることよる効果)
一方、過量では、“興奮性神経伝達性物質”が過剰に働いてしまい、“興奮毒”として神経細胞に障害を与えてしまいます
その他フェニルアラニンやメタノールも、これらはすべて中枢神経系に影響を与える可能性があることが分かっています。
注意すべきは、これらマウスに見られるような不安に似た行動が、人間でも同様に現れるかは明らかではないことです。
しかし、「そういった不安障害の影響は、マウスの精細胞の遺伝子的な変化により明らかに世代を超えて受け継がれる可能性があり、同様のことが人間でも起こっている可能性がある」と研究チームは示唆しています。
言い換えれば、人工甘味料を摂取する人だけでなく、その子供たちやその子供たちも危険にさらされる可能性があるということです。
研究者らは以前にも“アスパルテームと不安との関連性を研究”していますが、他の動物に人工甘味料を与えても、本実験のラットに現れた不安様行動が見られませんでした。
接種した種によって結果が違うことを理解するには、さらに多くの研究が必要であることを示唆しています。
この研究は米国科学サイトPNASにて確認することができます。
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