運動や家事などをしていると不意に起こるハプニング。
時には体を何処かにぶつけて痛い思いをし。衝撃の強さよってはその部位にあざができてしまうことがあります。
しかし、中には特に原因もないのにあざができていたことを懸念する人もいます。
一体この背景に何があるのでしょうか。
今回は、あざと健康についての話題を研究サイトの記事を参考にまとめていきます。
参考記事)
・Do You Bruise Easily? It Could Be A Sign Of Something More Serious(2023/10/29)
・Anatomy of a Bruise(2023/02/13)
参考研究)
・Impact of sex, age, race, ethnicity and aspirin use on bleeding symptoms in healthy adults(2011/01)
・ITP-Immune Thrombocytopenic Purpura(2023/05/06)
痣と身体の関係
血液内科医のSant-Rayn Pasricha氏は、あざができやすいのではないかと心配する人からよく相談を受けます。
ある研究では、成人の約18%が簡単にあざができると報告しています。
専門家はこの現象をどのように考えているでしょうか。
血液の働き
まず把握しておくと良いことは、出血には、私達の体を守るのに役立つ重要な役割があるということです。
血液は液体となって血管を流れ、酸素を含む赤血球や感染症から身を守る免疫細胞を脳や筋肉、内臓に運びます。
血液には、私たちが怪我をしたときに出血から身を守ると同時に、危険な血栓が形成されるリスクを最小限に抑える働きもあります。
外傷などにより血管に「穴」が開くと、血液は急速に濃くなってゼリー状の血栓を形成し、血小板と呼ばれる小さな細胞片が傷ついた血管壁に結合することで、血液の損失を最小限に抑えることができます。
他の血球と同様に、血小板は骨髄で作られ、凝固因子は主に肝臓で作られます。
それらの中の血液凝固因子、血小板、血管壁のいずれかに問題があると、あざができやすくなったり出血しやすくなったりします。
あざができることで何が問題になる?
記事では、あざができやすいと訴える患者の多くの相談に対し、血液内科医もこれと言った原因を見つけることができないとしています。
血液専門医は通常、出血に関連する一連の問題がある場合、その原因をより慎重になります。
あざが広範囲に広がっていたり、大きなあざがあったり、頻繁に鼻血が出たり、生理の量が多かったり、大きな歯の治療や手術、出産の後に出血があったり、あるいは関節や脳への重大な出血が自然に起こったりするような場合には、血液疾患の可能性が高くなります。
青あざができやすいと報告された患者に対してまず最初に行うのは全血球算定です。
これには血小板数の測定も含まれ、血小板数が正常かどうかが分かります。
血小板が減少する理由はいくつかありますが、主に骨髄で適切に生産ができない、十分な量が産生されない、あるいは循環から除去されるのが早すぎるといったものが挙げられます。
後者は”免疫性血小板減少性紫斑病”と呼ばれる一般的な病態です。
この疾患は、小児や成人に区別なく突然、あるいは何らかのウイルス感染後に発症することがあります。
患者は血小板数が著しく減少し、細かい発疹のような小さなあざが見られます。
小児の場合、通常は短期間で自然に回復しますが、成人の場合は、重症例では免疫系を抑制する薬や血小板産生を促進する薬による治療が必要になることがあります。
凝固タンパク質と病気
血液凝固因子は、遺伝的または後天的な原因によって影響を受ける可能性があります。
出血を抑えるために必要な血液凝固因子の量が生まれつき少ない人もいます。
血友病Aはほとんど男性にしかみられず、血液凝固第VIII因子(重要な血液凝固因子)の遺伝的低下によって起こります。
フォンウィルブランド病は男女ともに発症する可能性があり、別の重要な血液凝固因子の産生や機能が低下します。
肝疾患も血液凝固障害を引き起こすことがあります。
そのため、あざができやすいと報告された方には、凝固機能を測定する検査を行います。
もし異常が見つかれば、主要な凝固因子の濃度を検査することでさらに病気の原因が分かる可能性が高まります。
血管内での問題
栄養学が発達した現在ではあまり見られませんが、かつては重度のビタミンC欠乏症があざや歯肉からの出血を引き起こすことがよくありました。(壊血病)
ヘノッホ・ショーンライン紫斑病(自己免疫疾患で足や太ももにあざができる)など、血管が細くなったり炎症を起こしたりする病気もあります。
高齢者は皮膚や血管がもろく、あざができやすくなります。
薬とサプリメント
薬の副作用によって、あざができやすくなることがあります。
アスピリンは、血小板が心疾患や脳卒中のリスクを悪化させるのを防ぐために処方されることが多い薬剤ですが、血小板の機能を低下させることもあります。
クロピドグレル(問題のある凝固を止める)や非ステロイド性抗炎症薬(痛みや炎症のために服用するイブプロフェンなど)のような薬も、血小板の機能を低下させる可能性があります。
脳卒中につながる血栓のリスクが高い人に処方されるワルファリン、アピキサバン、リバーロキサバンなどの血液希釈剤は、あざ形成に影響を与えることがあります。
また、イチョウやビタミンEを含む市販のサプリメントも、一部の抗うつ薬と同様に、あざができやすくなる可能性があります。
以上のようにあざができやすくなる原因は多くありますが、他の過度の出血の強い既往歴がなく、血球数や凝固機能検査が正常であれば、さほど心配する必要はありません。
しかし、簡単な衝撃で体にあざができてしまう場合、病気でないとしても病院などで検査を受けることが、病気の早期発見や予防に繋がるでしょう。
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