以前投稿した慢性疲労についての記事では、“どれだけ休んでも疲れが取れないのは、ミトコンドリアの機能不全かもしれない!”という旨の記事をお伝えしました。
それに続き、今回も慢性疲労についての話です。
血液検査によって慢性疲労かどうかを正確に判別できる可能性がでてきたようです。
参考記事)
・New Blood Test For Chronic Fatigue Syndrome Has 91% Accuracy(2023/09/11)
参考研究)
血液検査で慢性疲労を判別
慢性疲労症候群の患者が正式な診断を受けるには何年もかかります。
日本における10万人を対象にした調査(PR TIMESより)では、2021年までにおよそ80%以上の人が「疲れている」または「慢性的に疲れている」と回答しています。
今回の研究の舞台であるアメリカでもこの慢性疲労は深刻な問題であり、多くの人が診断されないまま、気力、頭脳力、そして気ままな生活を奪う症状に対して、医学的なサポートを受けずに生活しています。
こういった問題に対し、オックスフォード大学を中心とする科学者チームは、血液細胞を用いた検査によって、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎またはME/CFS)の患者とそうでない患者を91%の精度で見分けることができるという予備的な結果を発表しました。
この血液検査は、ラマン分光法と人工知能(AI)ツールを使って、ME/CFSの患者とそうでない人の末梢血単核球(PBMC)と呼ばれる血液細胞の性質を区別するものです。
これまでの研究で、ME/CFS患者の末梢血単核球はエネルギー機能が低下していることが示唆されています。
この結果は、ME/CFSがエネルギー産生障害のひとつであるという新たな理論に合致するものです。
これらの研究を基に、ME/CFS患者61人、健常対照者16人、ME/CFSと多くの類似症状を持つ自己免疫疾患である多発性硬化症患者21人を含む約100人を対象に、血液検査やアンケートによるテストをしました。
検査では、98の患者サンプルの2,000以上の細胞をプロファイリングし、単一細胞の分子振動を分析しました。
分析では、ME/CFS患者と2つの対照群との間に明らかな代謝の違いを発見することができました。
この分析結果にAIアルゴリズムを適用したところ、91%の患者を正確に分類することができ、ME/CFS患者の軽症、中等症、重症も84%の精度で区別することができました。
こういった血液検査によって、ME/CFS患者とMS患者、および健康な人々を区別することができれば、ME/CFSと線維筋痛症、慢性ライム病、COVIDなどの他の病気との鑑別に利用できる可能性があります。
より大規模なコホートで検証するには、さらなる研究が必要としています。
2019年、スタンフォード大学の科学者たちは、末梢血単核球を分析する試験的研究の結果を発表しましたが、それ以来その研究に大きな進展は見られません。
今回の研究がそういった立ち止まっている研究の後押しとなることが期待されています。
また研究者らは、「早期診断により、疾患経路や治療法の開発に新たな発見がもたらされる可能性がある」と、世界中で苦しむ慢性疲労症候群の患者の助けとなる可能性について述べています。
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