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【研究】薬ではなく農産物を処方する実験【要約】

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清涼飲料水を飲んだときに起こる胸焼けや胃のむかつき、パンを食べた翌日に起こるお腹の調子の悪さ……などなど。

  

人の体は食べるものによって健康状態が大きくされることは、これまで多くの研究によって明らかになっています。

  

アレルギーやアトピーなども、お菓子や小麦を止めると改善されることは多々あり、体調を改善させたいときに真っ先に考えるべきなのは食事と言えるほどです。

  

”リンゴが赤くなると医者は青くなる”という諺のように、果物や野菜などに含まれる栄養素(ファイトケミカルなど)食べ物によって得られる免疫向上は病気を遠ざける大きな要因となります。

  

では食べ物を薬の代わりに処方するとどうなるのでしょう。

  

今回は、そんな食と健康に関する研究のお話です。

  

参考記事)

Doctors ‘Prescribed’ Free Fruit & Veg to Thousands in an Experiment(2023/09/03)

  
参考研究)

Impact of Produce Prescriptions on Diet, Food Security, and Cardiometabolic Health Outcomes: A Multisite Evaluation of 9 Produce Prescription Programs in the United States(2023/08/29)

 

  

薬ではなく農産物を処方する実験

米国の多くの医療機関は、患者に無料で健康的な食事を提供するプログラムを1年以上にわたって実験的に実施しています。

  

アメリカ マサチューセッツ州のタフツ大学も同様のプログラムを実施し、2014年から2020年にかけて、米国12州の22の農産物処方場所から得られたデータを基に、その効果を比較、評価しました。

  

本研究では、低所得者層を対象とする診療所から集められた、心代謝系の健康状態が悪い、またはそのリスクがある3881人(18歳以上の成人2064人、2~17歳の子供1817人)を対象としました。

  

プログラム実施地域では、参加者は通常、毎月約65米ドル(電子カードやクーポン券)を4~10ヵ月間受け取り、食料品店やファーマーズマーケットで好きな農産物を選ぶことができます。

  

このプログラム後、参加者の心身状態の自己申告や、医療機関での糖化ヘモグロビン、血圧、体格指数(BMI)、BMI zスコアを測定しました。

  

その結果、健康的な生活を送るのに十分な食料がないという、食料不安の経験も3分の1まで減少、BMIが-0.36kg/m2減少、収縮期血圧が-8.38mmHg(-10.13→-6.62)、拡張期血圧が-4.94mmHg(-5.96→-3.92)……等、精神的にも健康的にも改善の兆しが見られました。

  

また、小児のBMIスコアは-0.01(-0.06→0.04)と変化しませんでした。

  

今後の研究では、マサチューセッツ州のメディケイド・プログラムのフレキシブル・サービス・プログラムから資金援助を受けて、試験の評価を続けるとしています。

 

また、大規模な無作為化比較試験も実施中で、がん患者のあるグループには無料の宅配食を提供し、別のグループには標準治療を提供することで、がんに対しての効果も確認しています。

  

こういったことから、この研究や一連のプログラムが、食による病気のコントロールに繋がることが期待されています。 

 

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