心理学行動

【研究】1日の孤独は8時間の断食と同じくらい疲労を増加させる【要約】

心理学

社会から隔離されるというのは、時に病に侵されるほどの危険性を伴います。

 

農村や集落、戦など、古来から人類は良くも悪くもコミュニケーションをとって生活をしてきました。

 

今回は、そんな社会から隔離されたことによるストレスについてのお話し。

 

どうやら社会と関わりのある生活は、人間らしい生活をする上では必要なもののようです。

 

参考記事)

8 Hours of Loneliness Can Be as Draining For Some People as Going Without Food(2023.4.20)

Widespread Loneliness Is Killing People And We Need to Start Taking This Seriously(2017.8.7)

参考研究)

Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review(2010.7.27)

Loneliness and Social Isolation as Risk Factors for Mortality: A Meta-Analytic Review(2015.3.11)

 

 

孤独による疲労感の増加

 

オーストリアのウィーン大学とイギリスのケンブリッジ大学の研究によると、8時間の孤独はエネルギーを奪い、8時間食事無しで過ごすのと同じくらい疲労を増大させる可能性があることが分かりました。

 

研究によるフィールド実験では、一人暮らしをしている人と、社会的交流を特に重視して楽しんでいる人の両方が、仲間の欠如の影響を受ける可能性が最も高いことが示されました。

 

また、社会的孤立と食物を食べないことの間に類似性があることが分かりました。

 

ウィーン大学の心理学者であるAna Stijovic氏は、「どちらの状態をエネルギーの低下と疲労の増大を引き起こしたことが分かりました。食物の欠乏が、文字通りエネルギーの不足をもたらすことは分かりますが、社会的孤立が同様の結果を示したことは驚くべきことです」と述べています。

 

研究では、30人のボランティアが8時間ごとに3日間検査されました。

 

1日は社会的接触のない日、1日は食事のない日、もう1日は社会的接触も食事もない日の三段階で経過が観察されました。

 

参加者はストレス気分疲労についてのフィードバックを提供し、心拍数や唾液中のコルチゾール量の測定もされました。

 

このフィールド実験にはオーストリア、イタリア、またはドイツに住む87人が参加し、2020年4月から5月までの、新型コロナウイルスによるロックダウンの期間を含んでいます。

 

フィードバックの結果、一人暮らしの人とより社交的な人が最も影響を受けることが示されました。

 

彼らの報告では、誰とも交流しなかった日が最もストレス反応が高く示され、気分の低下や疲労を示しました。

 

これは社交的でない人では見られなかった結果です。

 

短期間の社会的孤立の後でもこういった効果がみられる事実は、長期的に見ると社会的に不適合になる可能性があることを示しています。

 

また、隔離期間が長くなるにつれて被害は悪化する可能性があり、孤独と肥満などの公衆衛生上の問題と比較すると、早期死亡など重大なリスクがあることも懸念されています。

 

以前の研究では、社会的関与が薄くなればなるほど、その人が再び社会に出て、繋がりを作りたいと思う可能性が低くなることが示唆されており、負のスパイラルに陥ることが考えられています。

 

今回の研究では、状況と性格による要因が、社会的孤立による疲労感の影響を調節することも分かりました。 

 

社会と関わらないことによって、日の光を浴びる時間が減り、睡眠サイクルの重要なメカニズムであるセロトニンやメラトニンなど神経伝達物質やホルモンの調節異常も関係することが考えられています。

 

将来の研究では、隔離の影響によるリスクが最も高い個人がどのような生活をし、どのような性格なのかを特定し、寿命や死亡リスクなどとの関係の解明が期待されています。

 

 

まとめ

・社会的孤立は、食物の欠乏と同様のストレスや疲労レベルを示す

・社会的孤立の影響を強く受けるのは日頃から社会的関係を強く持っている人が社会から隔離された時

・隔離によって健康や死亡リスクなどのデメリットが考えられる

 

自分もどちらかと言えば社会と繋がっていたいタイプですが、常に繋がっていると、いざ隔離された時の反動が大きいみたいですね。

 

一人でいる時間と、社会と繋がる時間のバランスが大切なことが分かりました。

 

老後においては、農業やボランティアなど社外との関係を持つことで認知機能の低下を防げたりと、メリットも多いことが分かっているので、そういった面で苦労しないようにコミュニケーション能力に気を使うことも大切だと思います。
 

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