私たちが毎日食べている野菜や果物。
ミツバチの活動は、これら果実の実りに欠かせないものになっています。
国連環境計画(UNEP)では、“世界の食料の90%を占める100種類の作物の内、70種類以上がミツバチによって受粉されている。”と発表しており、ミツバチが植物の生態系維持に大きな役割を担っているとされています。
今回は、そんなミツバチの寿命の変化についての研究をまとめた記事です。
ミツバチの寿命が半分に
2022年11月14日。Scientific Reportsにて蜂の寿命に関する研究が公開されました。
メリーランド大学ミツバチ研究所のAnthony Nearman氏は、ミツバチの寿命を延ばすためのアプローチを研究しました。
研究では成虫になる直前のミツバチを巣から選びケージに入れ、炭水化物溶液(砂糖シロップ)や水などを与える環境を変えながら、寿命に変化があるかを調査しました。
まずここから分かったことは、水を与えられたミツバチは、そうでないミツバチよりも寿命(の中央値)が長いことが分かりました。
・対照群の寿命の中央値=約15日
・補給水ありの寿命の中央値=約21日
50%の炭水化物水溶液で飼育されたミツバチでも、本来はそこに含まれる水分で十分とされていましたが、それとは別に補給水があった方が長生きであること示しました。
その後研究チームは、過去の研究データにさかのぼり、ミツバチの供給する水分について調査しました。
そこで驚くべきことが判明しました。
なんと、1970年代のミツバチの寿命と比べると、現在のミツバチの寿命は大幅に短くなっていたのです。
1970年代の研究におけるケージ内の平均寿命は34.3日。
対して現在のケージ内の平均寿命は17.7日。
この約50年間でミツバチ寿命が半分ほどになっていることが分かりました。
明確な理由は不明
一体なぜミツバチの寿命は短くなってしまったのか……。
ハッキリとした原因は分かっていません。
病原菌、殺虫剤、環境の変化、遺伝的変化……など、様々な要素を鑑みて研究に当たる必要があるとチームは語っています。
Nearman氏は、“遺伝的多様性が失われていること”を原因として挙げました。
また、“この仮説が正しいとすれば、ミツバチの遺伝子を研究することで、以前ののような寿命を再現することができるかもしれない”と述べており、今後の研究に期待が持たれています。
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