前回記事
前回の記事では、Web3を代表するテクノロジーである、NFTとメタバースについてまとめてきました。
それまでプラットフォームに頼っていた信頼性や唯一性が、ブロックチェーン技術によって、個人でも証明できるようなりました。
これは、最も信頼性が必要とされる“金融”というジャンルにも応用することができます。
今回のテーマはWeb3と金融によって生み出された新たな概念、“DeFi”についてのお話です。
DeFiとは
DeFiとはDecentralized finance(非中央集権型金融)の略称です。
現在、多くの金融取引は、銀行や証券取引所など特定の企業や団体が仲介する“中央集権型”がとられています。
テクノロジーの発展により、金融にもインターネットが取り入れられ、フィンテックという分野が発展してきました。
ユーザーはネット環境さえあれば、いつでもどこでも口座の内容を確認や送金ができるようになりました。
またデビットカードや自動口座引き落としのプログラムなどによって、現金を意識せずに購買体験をすることも可能になりました。
しかし、これらは Web2の領域を超えてはいません。
管理の主体は企業であり、企業が持つシステムがダウンすると、ユーザーは一切資金に触れることはできません。
また、企業毎に定めた手数料などによって、お店やユーザーに負担がかかるなど、様々なリスクがつきまといます。
対してWeb3は、ブロックチェーンによってプラットフォームが世界中のユーザー間で管理する仕組みなため、仲介する管理者などが生まれにくい構造になっています。
つまり、金融機関が必要なくなるのです。
DeFiは、金融機関が行なっていた領域を分散し、ユーザー同士で運用できるため、非中央集権型金融または分散型金融と呼ばれます。
DeFiでできること
ではそんなDeFiには何ができるのか……。
現在使われているDeFiの能力を以下にまとめていきます。
①分散型取引所(DEX)
DEX(Decentralized Exchange)と呼ばれる分散型取引所で、トークン同士の交換や運用ができます。
②レンディング
レンディングはトークンを貸出して利益を得る仕組みです。
DeFiエンディングでは、資金の貸し借りを仲介者なしで行うことができます。
仲介者に払うコストがないため、貸し手は通常の銀行などより高い金利を得ることができ、借りては低い金利で資金を借りることができます。
イーサリアム上で有名なレンディングサービスとしては“Aave”が挙げられます。
預けた資産を担保に借り入れができたり、貸し借りの際、変動金利にするか固定金利にするか選べたりと、銀行サービスをそのまま移したような機能が揃っています。
③オプション&デリバティブ取引
トークンを売買する“権利を取引”できるオプション取引に加え、デリバティブ取引もできます。
デリバティブ取引は、売り手と買い手の間で、将来の特定の日時や価格を決めることで資産を売買することを言います。
日本語では、金融派生商品などと訳されています。
先物取引、先渡取引、無期限契約など信用を元にして行なわれる取引もDeFiでは可能です。
④保険
暗号資産の急激な価格変動のリスクや、ウォレットの盗難、取引所へのハッキングなどDeFi上ではさまざまなリスクにさらされます。
従来の保険のような、ユーザーに開示されない状態での査定システムではなく、ユーザーが支払い基準を参考にでき、スマートコントラクトによる自動支払いが可能になります。
DeFi保険として代表的なものとしては、日本発の“InsureDAO”があります。
⑤ステーキングやファーミング
DEXや特定の取引所では、トークンのステーキングやファーミング、流動性マイニングなどを行うことができます。
・ステーキング
トークンの保有者が資産を専用のプールにロックし、そのリターンとして金利や報酬を得ること。
ロックしたトークン量が多かったり、ロックした期間が長いほどそのトークンのエコシステムに貢献してるとみなされ、その分報酬が多くなります。
・ファーミング
正しくはイールドファーミングと呼ばれ、DEXなどにトークンを預け入れて利息を得ることです。
プラットフォームに流動性を提供する見返りに借り手が支払った金利手数料の一部を受け取ることができます。
・流動性マイニング
DEXに流動性を提供する見返りに、独自のトークンを得ることです。
例えばあるDEX内で、CAKEというトークンとBNBというトークンを掛け合わせた“CAKE-BNB”トークンを作って預け入れます。
これによって、他の人がCAKEとBNBを取引する際の流動性を確保したということになり、その報酬を自動で受け取ることができます。
イールドファーミングと同じ意味で使っている取引所などもあるので、明確に違いを認識しなくてもいいかも知れません。
まとめ
これまで銀行が行ってきた貸出、取引、保険など様々な金融商品が、Web3(DeFi)の登場によって、取って代わられるようになることが分かりましたね。
実際に自分も数年前からDeFiを触り、保険商品以外のほとんどを経験してきましたが、暗号資産ウォレットひとつでさまざまなサービスにアクセスできることに感動を覚えました。
ブロックチェーンをベースとした金融システムであれば、朝9時から午後3時までの時間制限に囚われることもなく、土日に窓口が閉まることもなく、国外への送金に多くの手数料や時間がかかるわけでもない……。
とても便利なシステムとして、今でも使わせてもらっています。
ただし、リスクがあることも確かです。
特にトークンの売買や値上がり益を期待する点においては細心の注意が必要になります。
技術への投資ではなく、値上がりを期待する投機としてDeFi市場に参入した場合、よくリサーチしない状態でお金をつぎ込むと、手元に残る資金がゼロになることもあります。
技術の裏にあるリスクを理解することも、Web3を学ぶ上で必要なことだと思います。
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