【行動経済学⑨】高価な買い物では細かい値段差は気にならない?〜セイリアンス~

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この記事では以前概要をまとめた、【要約】行動経済学ってそういうことだったのか!【紹介】の内容をさらに深堀りながら復習していきます。

     

著書で紹介されている“プロスペクト理論”“バイアス”などの用語を中心に1、2テーマずつまとめようと思います。

     

今回のテーマは“セイリアンス”です。

     

     

確立加重関数の記事では、宝くじ1等の当選確率である0.00000005%という極めて小さな数字でさえ、「もしかしたら当たるかも?」と過大評価してしまう傾向(可能性効果)についてまとめました。

 

しかし何でもかんでも小さな確率を過大評価するかと言ったらそうではないことも明らかになっています。

 

なんとも人間の感性とは一貫性のないものですね。

 

今回のテーマはそんな確率の評価を表す概念“セイリアンス”についてまとめていきます。

  

 

セイリアンス

 

セイリアンスとは目立つものを意識してしまう傾向のことです。

 

顕著性、顕現性とも言います。

 

例えば、台風や地震など自然災害の直後は次の災害への備えをしていたはずなのに、今ではあまりしていない。

 

……といった状況が挙げられます。

 

これは何かが起こった(すぐ起こるだろう)リスクを見積もるとき、記憶が新しい内はその確率を過大評価してしまう傾向が作用しています。

 

一方、時間が経ち記憶が薄れてしまえば、リスクの見積もりは過小評価どころか0%と変わらない程度にまで軽視されます。

 

これがセイリアンスのもう一つの側面です。

 

目立つものを意識し、意識外のものは重要視しなくなる。

 

このような心理的傾向は私たち生活にもでも多く現れます。

 

 

安く買うために……

 

ここで質問です。

 

【質問】

次の2つの文章を読んで、それぞれYESかNOかで答えてください。

 

【文章①】

あなたは15,000円のシャツ購入しようとしています。

10分ほど歩いた店舗では、同じ商品が500円引きで売られています。

あなたはその店舗まで歩きますか?

→YES or NO

 

【文章②】

あなたは1,500円のシャツを購入しようとしています。

10分ほど歩いた店舗では、同じ商品が500円引きで売られています。

あなたはその店舗まで歩きますか?

→YES or NO

 

さて、それぞれどちらを選んだでしょうか?

 

自分はもちろん質問①はNO!、質問②はYES!でした。

 

同様の質問をすると、多くの場合は自分と同じNO→YESの答えを選ぶといいます。

 

今の質問を単純化すると、「500円を節約するために隣の店舗まで歩きますか?」という聞き方に変えることができます。

 

どちらも得する金額は同じはずなのに、なぜこのように印象に違いが生まれてしまうのでしょう。

 

理由はやはり“セイリアンス”にあります。

 

500円は、15,000円の内では3.3%、1,500円の内では33%を占めています。

 

両者を比べると明らかに比率が異なっていますね。

 

15,000円の買い物の場合は、500円が意識されなかったため“次の店舗まで歩く”という行動が促されなかったことが分かります。

 

対して1,500円の買い物の場合は、500円が注目されたため“次の店舗まで歩く”という行動が促されたと分かります。

 

以上のことから、消費者は高額の商品を買うときには価格を気にしないのに、低額の商品を買うときには価格に関心がいきやすいという特徴あると言えます。

 

 

家賃も価値ではなく価格で見てしまう?

 

さて、先ほどまでの内容では何と比べるかによって注目する点が変わるということをまとめてきました。

 

“高い価格に注目がいくと、小さな価格が気にならない”という根拠を確認するために本書では、家賃相場の研究を紹介しています。

参考)

THE EFFECT OF PREVIOUSLY ENCOUNTERED PRICES ON CURRENT HOUSING DEMAND

 

行動経済学者のウリ・サイモンソーン氏らはアメリカの大都市間で引っ越した928人を対象とし、新居を選ぶ際の家賃について調査しました。

 

サンフランシスコとアラバマ州のとある都市の家賃相場の違いは、サンフランシスコでは2,142$アラバマの都市では433$ほどです。

 

研究ではそれぞれの都市から2つの家族が引っ越してきた場合を例に分析しています。

 

結果は、家賃相場の高い都市(サンフランシスコ)から越してきた場合は、転居先でも家賃の高い住居を選ぶ傾向にあるということでした。

 

逆に、家賃相場の低い都市(アラバマ)から越してきた場合は、転居先でも家賃の低い住居を選ぶ傾向にあることも分かりました。

 

そんなの当たり前の話だろうとツッコミが入りそうですが、そう簡単な話ではないようです。

 

合理的に考えるのであれば以前住んでいた家賃で決めるのではなく、そこの周りの環境や定められた土地の規律などを含めて考えるべきです。

 

家賃相場の低い州から引っ越してきた場合は、経済面から考えて同じ家賃以下の選択肢を迫られることは仕方ありませんが、家賃の高い相場から引っ越してきた場合でも以前の家賃を基準にしてしまうところが面白いポイントです。

 

高い相場観を持っている場合は物件の品質に注目し、他の同等の物件の細かい価格差は気にしないよう行動します。

 

低い相場観を持っている場合は物件の価格に注目し、できるだけ安い物件を探すよう行動します。

 

これも15,000円のシャツでは価格差が意識しないのに、1,500円のシャツでは価格差に意識がいく状態ととてもよく似ていますね。

 

ちなみにサイモンソーン氏らの研究の別の結論では、新居を選ぶ際はすぐに決めるのではなく、1年ほどそこに住んでから条件を再考した場合が満足度が高いそうです。

 

 

まとめ

・セイリアンス=目立つものを意識してしまう傾向

→災害の直後は備える意識があるが、時間が経てばそんなに気にしない

・注目するものによって行動が変わる

・注目する点はそのものの価値ではなく何と比べるかによって変わる

 

以上、セイリアンスについてのまとめでした!

 

私事ですがこの前友人と焼肉に行った際、“いつも使っているガソリンスタンドよりもガソリンが割引されている隣町まで車を動かすかどうか”で話をしていました。

 

MAX10円引きという強烈な印象に、一旦は「行ってみる価値はありそうですぜ!」となりましたが、優秀な友人が燃費などとともに計算した結果、対して変わらないという結果に。

 

何なら時間をロスする分損という話に落ち着きました。

 

これもセイリアンスの良い例ですね。

  

そんな話をしたのがちょっと高めの焼肉店ということで、普段の食事よりもお金を気にせずに使ってしまったこともまたセイリアンス……。

  

あ、あと車を購入するときにせっかくだからと使うか分からない数万のオプションを追加してしまうのも……。

 

見事に引っかかってますね。😭

 

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