・神は全能である
・神は全知である
・神は完全な善である
・この世に悪が存在する
この主題について考えたとき、有神論者はこの主張を受け入れてきました。
一方多くの哲学者は、この四つのは矛盾していると考えています。
もし神が全能なのであれば、悪のない世界を作ることができたはずだと考えたからです。
神が意図的に悪の存在する世界を作ったのか、はたまた今まで有神論者たちが考えてきた神は存在しないのか…?
今回の記事では、全能であるはずの神が、悪のある世界を創ったという矛盾についての議論(悪の問題)についてまとめていきます。
悪の存在は人間の自由意志によるもの
ライプニッツ
この世は存在しうる世界の中で最善の世界。
これに対するひとつの答えとして、“この世に悪が存在するのは神の責任ではない”とう主張があります。
この考えを支持する人々はこう言います。
「神は世界を創造したが、悪を作り出したのは人間の意思である。」
この主張のポイントは3つ。
・人間には自由意志があり、自由が故に悪も存在する
・神が悪の存在をなくそうとするには、人間に自由意志を与えることをやめるしかない
・人間が自由意志を持たない世界は今の現実の世界よりも悪い
これらのことから、自由意志を持った人間を創造したのは神の最善の選択であり、その結果として悪も存在してしまうということです。
確かに人間の悪は説明がつきますが、自然による悪はどうでしょう。
例えば、地震や津波、ハリケーン、疫病などの人々に死をもたらすような天災などは…。
神は、罪もない人の命を奪う災害のない世界を創造することもできたはずです。
何故そのような世界を創らなかったのでしょうか。
この問いにゴットフリート・ライプニッツはこう答えました。
ライプニッツ
この世は存在しうる世界の中で最善の世界である。
続けて、
「確かにこの世には、人々の命を奪う天災などがいくつもある。しかし大型ハリケーンや津波のない世界は、今の世界よりも遥かに悪い。」
と主張しました。
災害のない世界は自然の変化を支配する法則がないため、今のように人間が住める世界ではないということですね。
このように、神が完全な善であることと、この世に悪が存在することを両立させる議論を弁神論、神義論といいます。
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