の続き…。
- プロメテウスの弟
- ・アトラスとは…?
- 「ヘスペリデスのリンゴの世話をしているのは私の娘たちだ。だから取ってくることは造作もない。」
- 「…だがこのままでは取りに行くことができない故、戻るまで私の代わりに天球を支えていてくれないか?」
- 「それでは、是非とも支えたいと思います!」
- 「これで間違いないな、この後このリンゴをどうするつもりだ?」
- 「このリンゴをミュケナイの王の元へ持ち帰るのが私の使命なのです。」
- 「フム、理由は分かった。どうだ、私がこのリンゴをその臆病な王の元へ届けてきてやろう。」
- 「本当ですか?それではお願いします。」
- 「…ただ、中途半端に持っていたせいで上手く支えきれません。姿勢を整えるので一旦変わってくれませんか?」
- 「そうか、良いだろう。どうれ、ついでにコツを教えてやる。こう持つのだ!」
- 次回:冥界王ハデスとケルベロス
- 余談
プロメテウスの弟
プロメテウスの助言もあり、ヘスペリデスのリンゴを入手できる神の元へ向かいました。
その神とは、プロメテウスの弟アトラスでした。
・アトラスとは…?
アトラスは、かつてティタノマキア(ゼウスVSゼウスの父クロノスの戦い)でクロノス側について戦った神です。
クロノス率いるティタン神族は、タルタロスという闇そのものに追放されました。
その中でも強大な怪力を持ってゼウスを苦しめたアトラスだけは、その力を見込まれタルタロスに追放される代わりに、天と地が接触しないように天球(天界)を支える罰を与えられました。

そんなアトラスの元まで来たヘラクレス。
ヘスペリデスのリンゴの入手法を知らないか?と聞くと、ヘラクレスの意図を知ったアトラスはこう答えます。
「ヘスペリデスのリンゴの世話をしているのは私の娘たちだ。だから取ってくることは造作もない。」
続けて、
「…だがこのままでは取りに行くことができない故、戻るまで私の代わりに天球を支えていてくれないか?」
と思ってもみない提案をされたヘラクレス。
園を見つける手間も省け、不死の怪物と戦うことも避けられるとなれば受け入れない手はありません。
「それでは、是非とも支えたいと思います!」
ヘラクレスが答えると、アトラスはすぐに天球を託します。
それでは取ってくるぞとヘスペリデスの園に向かったアトラス。
気の良い神に思われたアトラスの行動には、ある思惑が隠されていました。

ヘラクレスがしばらく待つと、黄金のリンゴを持ったアトラスが戻ってきました。
「これで間違いないな、この後このリンゴをどうするつもりだ?」
とアトラス。
ヘラクレスは、
「このリンゴをミュケナイの王の元へ持ち帰るのが私の使命なのです。」
と事のいきさつを話ます。
アトラスは、
「フム、理由は分かった。どうだ、私がこのリンゴをその臆病な王の元へ届けてきてやろう。」
アトラスはヘラクレスに協力するついでに、天球を持つ役目を彼に押し付けようと考えました。
しかしそのことに気づいたヘラクレスは、
「本当ですか?それではお願いします。」
「…ただ、中途半端に持っていたせいで上手く支えきれません。姿勢を整えるので一旦変わってくれませんか?」
アトラス。
「そうか、良いだろう。どうれ、ついでにコツを教えてやる。こう持つのだ!」
アトラスが天球を持った時、既にヘラクレスは去っていました。
激しい心理戦はヘラクレスの勝利に終わったようです。
ミュケナイに戻り、黄金のリンゴをエウリュステウスに渡します。
これで第十一試練達成です。
まさかヘラの園のリンゴを入手するとは思わなかったエウリュステウス。
これ以上の試練はないと考え、遂にあきらめるかに思われましたが、最後の最後に生ける人間には到底不可能な試練を与えます。
次の試練は、冥界にいるケルベロスを生きたまま連れてくることでした。
次回:冥界王ハデスとケルベロス
↓
余談
ヘラクレスからエウリュステウスに渡された黄金のリンゴ。
手に入れるハズがなかったリンゴが目の前にあるのを見て、神の逆鱗に触れるのではないかと恐れたエウリュステウス。
エウリュステウスにもささやかながら救いの手が差し伸べられ、戦いの神アテナが「これは人間が持つものではない」とヘラの園へ返してくれましたとさ。
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