単体のホウ素は黒色をした非金属です。
自然界には存在せず、ホウ酸塩鉱物(ホウ砂など)から分離して得ることができます。
人類は昔からガラスやエナメルの原料としてホウ砂を使ってきました。
しかし、その中にホウ素が含まれていることを知ったのは、19世紀に入りゲイ=リュサックらによって単離が成功してからとなります。
融点は2077℃と高く、耐火性に優れています。
ソーダ石灰にホウ素を混ぜて作ったガラスは、フラスコやビーカー、ティーポットなどの耐熱ガラスに使用されています。
酸素と水素が結びついたホウ酸は、うがい薬や目の洗浄液としても使うことができます。
また音の伝達が速いこともあり、スピーカーなどの音響材料の振動版として用いられるなど用途は多岐に及ぶ優秀な元素です。
豆知識~ホウ酸団子~
ホウ素と聞いて真っ先に出てくるのは、対ゴキブリ用リーサルウェポンであるホウ酸団子ではないでしょうか??
ホウ素(ホウ酸を含む)は本来、全ての植物の必須微量栄養素です。
植物が大地や水から必要なホウ素を吸収し、人間が植物を食べることでホウ素を補給します。
哺乳動物はホウ素(ホウ酸)を過剰に摂取しても、腎臓の働きで体外に排出できます。
対してゴキブリやシロアリなどの昆虫は人間で言うところの腎臓が存在せず、ホウ酸を体外に排出することができません。
ホウ酸が体内に蓄積され続けることで中毒となり死に至るのです。
死に至る理由は、脱水症状によるものとも代謝機能異常によるものとも言われていますが、具体的に何が原因なのかは分かっていません。
ホウ酸団子を食べた後すぐに死滅するわけではなく、1~2週間以上かけて確実に死に至らしめます。
その過程でゴキブリに様々な症状を引き起こさせるといいます。
ホウ酸団子の何が凄いかって、あのゴキブリでさえ抵抗性をつけさせることが無い(少ない)というところです。
一部の機能に抵抗性が生じても、他の機能にトラブルを起こさせて結局死に至らしめるので、抵抗性が次の世代に受け継がれにくいと言われています。
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