資本に踊らされる資本家と労働者~資本論⑬~

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(↑前回記事)

 

前回の資本論は、生産活動についての考え方をまとめていきました。

  

単純再生産は、1回目、2回目、3回目……、とずっと同じ額の資本で行う生産活動のことを言いました。

 

拡大再生産は、1回目に増えた剰余価値を2回目の生産に組み込み、全体として資本が膨れ上がっていく生産活動のことを言いました。

  

今回は、そんな膨れ上がった資本が、労働者と資本家にどのような影響を与えるのかについてまとめていきます。

  

 

資本の割合とプロレタリアート

  

資本の増加が及ぼす影響を語る上では、“資本の割合”を分析することが重要であるとマルクスは述べています。

 

これに大きく関わってくるのが、“不変資本”“可変資本”です。

  

・不変資本=設備や機械などのこと。原材料などのそれ自体の価値が変わらない資本

・可変資本=労働力のこと。働く者の質によって、資本家が払った価格以上の価値を生み出す資本

  

拡大再生産で資本が増えていくと、さらなる設備の拡大やそこで働く労働者を求めるようになっていきます。

  

すると資本が拡大する資本家の下に労働者を呼び寄せ、発展する都市部に多くの農民を呼び寄せ、“プロレタリアート”が生まれます。

  

・プロレタリアート=資本主義社会において生産手段を持たず、自分の労働力を切り売りしている人々

 

マルクスは、都市に労働者が集中することによって勤勉で貧しい人間が増えると言っています。

   

  

資本家が資本家を喰う

   

プロレタリアートが増え資本がさらに拡大していくと、資本の割合が変わりはじめます

  

生産力を高めるために、設備や機械などの不変資本の割合が増えていくのです。

 

これが何を意味するのか……。

 

そうです労働者の切り捨てです。

  

資本が蓄積されればされるほど、さらなる資本の拡大を求めて設備投資ができる。

  

より大きな設備や工場をもつことでより多くの剰余価値を生み、さらなる拡大再生産が可能になります。

  

これは大きな資本家が小さな資本家を喰い潰すことに繋がります。

  

初めは大小様々な資本家がいたはずが、市場の価格競争や資本の成長競争の中で負けた資本家が、勝った資本に吸収されるという現象が起こるのです。

  

マルクスはこれを資本家による資本家の収奪だと言っています。

  

  

失業者と産業予備軍

  

先ほどまでのことから、大きな力をもつ資本家加速度的に資本が膨れ上がることが分かりました。

  

資本が膨れ上がると、より生産の効率を上げるために、人よりも設備に投資する割合が増えていく

  

そして相対的に労働者の必要性が減り失業者が増える……。

 

労働者は自ら資本を増殖させることで、知らぬ間に働く場を失うように導かれているのです。

  

資本主義にとってこれらプロレタリアートからなる失業者は最も都合の良い存在だとマルクスは言います。

  

彼はこれらの失業者を“産業予備軍”と言って説明しています。

  

産業予備軍とは、資本に依存しなければ生きていけない労働者たちのことを言います。

  

産業が循環するとき、ある分野は発展しますが取って代わるかのようにある分野は衰退します。

  

発展する分野では新たな労働者が大量に必要とされるため、その時に便利な存在となるのが先ほど言った“産業予備軍”になるのです。

  

  

産業予備軍が労働者に与える影響

  

産業予備軍は今まで普通に働いていた者たちにも影響を与えます。

  

資本に依存している彼らは、生きるためにどんな仕事も欲します。

  

給料が安くてもいいから仕事を求めるようになるのです。

  

資本家にとって安く使える労働者は好都合です。

  

今まで普通に働いていた労働者は自分の仕事が奪われないよう、労働を延長したり強度の高い労働に従事するようになります。

  

産業予備軍の圧力により、労働者は自分の首を絞めるような行動をとってしまうのです。

  

以上を踏まえてマルクスは、失業者が増えるほどに労働量も増えその労働をこなすほどに、拡大再生産によって多くの労働者が不要になるという悪循環に陥ると述べています。

  

  

まとめ

・資本の増加はプロレタリアートの増加をもたらす

・プロレタリアートによって資本が一定以上増えると資本の割合が変化する

・資本は利益を求め、労働者よりも設備に回される割合が増加する

・市場の競争に負けた資本は、大きな資本家に吸収される

・資本が設備に回されたことで失業者が増える

・失業者が増えることで、安く雇える労働力も増える

・労働者が労働によって資本を増やすことは、労働者自らの首を絞めていることになる

  

以上、資本の増大による影響についてのまとめでした。

  

資本家が資本家を喰い、労働者が労働者の首を絞める……。

  

そんな社会をマルクスは分析していたのですね。

  

産業予備軍は、現在で言うところの派遣労働者やパート、アルバイトにあたる部分と言えます。

  

国家や法律によって、マルクスがいた時代(や場所)のような過酷な環境での労働は避けることができるのはありがたみがありますね。

  

しかし真っ先に切られる現代産業予備軍にとっては、不安の中で生活するしかないのが現状でもあります。

  

AIの進歩に代表されるように、技術が発達するにつれて労働者が必要なくなるという構図は未だ変っていないように感じます。

  

そんな中で、

  

今の自分に何ができるのか……

今自分が持っている資本は何なのか……

労働力以外に資本と言えるものがなかったとしたらこれからどうするのか……

  

そんなことを考えるきっかけをくれるような話でした。

  

さて次回の資本論は、“縛られた労働者”の話です。

  

経済は成長しているのに貧困は拡大していく。

  

持たざる者が持たざる状態から抜け出せない理由について触れていきます。

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