ストロンチウム
ストロンチウムは銀白色の柔らかい金属です。
地殻には約0.037%存在します。
スコットランド南部の町ストロンチアンで産出される石から発見されました。
ロンドンで活動をしていた医師アデア・クロフォードが石の中に存在する未知の元素の存在に気づき、後にハンフリー・デービーがその元素の単離に成功。
発見された場所にちなんでストロンチウムと名付けられました。
ストロンチウム金属はかつて、ブラウン管のガラス添加剤としてよく利用されていましたが現在は他の物質にとってかわられています。
そのかわりに色と関係が深いものの材料として使われています。
塩化ストロンチウムは燃えるときに鮮やかな赤い色を発することから、花火や発煙筒、照明弾などに使われています。
アルミン酸ストロンチウムは、硫化亜鉛と同様に蓄光塗料や顔料として使われたりもします。
ストロンチウム90の危険性
原子力発電などの核分裂反応においては、ウラン(ウラン235)の核分裂生成物として“ストロンチウム90”が発生します。
ストロンチウム90は自然界に存在する安定同位体よりも中性子の数が多く不安定です。
そのため半減期28.8年でイットリウム90に、そこからさらに半減期64時間で安定核のジルコニウム90になります。
ストロンチウム90はカルシウムと性質が似ているため、体内に入ると骨や骨髄に蓄積されていきます。
一度骨蓄積してしまうと、崩壊してイットリウム90に変わるときにベータ線を長期にわたって放出します。
このときの放射線の影響によって、造血器官をはじめとするその他の器官が侵されるため、骨のガンや白血病の原因となっています。
大人では骨の代謝が少ないため比較的リスクは少ないですが、成長期の子供接種すると長期にわたって影響が出ると言われています。
現在自然界にあるほとんんどは、過去に大気圏内で行われた原水爆実験の降下物の残りです。
主な参考文献:放射線の身体への影響 石井一夫(医学博士)
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