1950年代、シカゴ大学のウィラード・F・リビーは、炭素の性質を使って年代を割り出す“放射性炭素年代測定法”を発見し、後にノーベル賞を受賞しました。
今回の記事ではウィラードによって発見された、炭素による年代測定法について触れていきます。
炭素の比率
動植物の生活圏内の炭素は、炭素12(12C)が98.93%を占めています。
しかし大気圏に入ってきた宇宙線の影響などを受けた炭素は、中性子の数が変化し炭素13や炭素14などの炭素同位体に変わってしまうことがあります。
炭素13はその存在比が1.07%です。
最早この時点で炭素12と炭素13の合計割合が100%に達していますが、炭素14も地球上にごくわずかに存在します。
炭素14の存在比は1兆分の1と微量であるため、多くの場合無視されてしまいます。
しかし放射性炭素年代測定法は、この極微量の炭素14を用いて測定します。
放射性炭素年代測定法
地上の生物は、どれも炭素を基本として作られています。
動物も植物も炭素12や炭素14を区別できないため、生きていく中で一定の割合で取り込んでいきます。
しかし、死ぬと同時に組織内の炭素14の量が減ってきます。
生物としての活動が行われないため、炭素14が取り込まれなくなるためです。
炭素12は安定した物質なので崩壊は起こりませんが、炭素14は不安定なためすぐに崩壊してしまいます。
放射性炭素年代測定法はこの性質を利用して年代を測定することができます。
つまり死んだ生物の年代を知るには、この炭素12と炭素14の割合を、生きている同種の組織と比べれば良いのです。
年代の測定
炭素14の半減期は5730年です。
生きている同種の組織と比べて死んだ組織の炭素14が半分になっていれば、5730年前の物質であると測定できます。
炭素14が4分の1になっていれば1万1460年前。
炭素14が8分の1になっていれば2万2920年前。
このように反比例で計算することが可能になるのです。
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