今回紹介するのはフランスの画家オラース・ヴェルネの作品です。
画家の息子として生まれたオラース・ヴェルネは、父から絵の技法を学び、肖像画、歴史画、戦争画などを盛んに書きました。
フランスの王政復古の時代、ナポレオン失脚後の動乱の世の生きた彼は、戦争や兵士の様子を盛んに描きました。
自ら戦場に赴いてまで絵を描くその姿は“絵を描く軍人”と言われるほどでした。
そんなヴェルネが描いた作品の一つがこちら。
息を引き取った女性が、死を司る天使によって天国へ昇天する姿を描いています。
彼が62歳の頃に描いた絵です。
戦争画を多く描いてきた彼にしては珍しい画風ですね。
聖書にはサマエルやアズラエルやガブリエルなどの死を司る天使がいくつか存在しますが、この絵の女性に手をかけている天使の正体は明かされていません。
死の天使はその人の気質に応じて現れると言います。
女性の傍らには聖書やキリストの聖画像などがあり、敬虔なキリスト教徒だったことが分かります。
また指は天を指し、顔はどこか満足げです。
きっと臨終後には天国へ行くのだろうという雰囲気が感じられます。
きっとこの死の天使も命を刈り取るのではなく、天に導く使いなのかもしれませんね。
コメント