2018年(公開は2019年7月)に、オランダのエラスムスロッテルダム大学から面白い論文が発表されていたので勉強がてらまとめます。
「女性は男性よりもテストのパフォーマンスが悪い傾向にある。」
「しかし口頭でのリーディングテストでは、より良いパフォーマンスを発揮する。」
という書き出しから綴られているこの論文。
理数系の内容を含むテストを通して、女性と男性の頭の回転の違いを調べる研究になります。
【結論】
始めに結論から。
数学、理科の分野において、テストの時間が長いほど、女性の方が男性よりも集中力や正解率などテストの成績にて良い結果を出すことができることが明らかになりました。
長時間の仕事や勉強をやってもらうときなどの効率化の指標になりますね。
【研究内容】
PISA(Programme for International Student Assessment)という、国際的な学習状況調査テストを使って、テスト中のパフォーマンスを調査。
「対象」
・15歳の男女(74か国)
「調査期間」
・2006~2015の3年ごとのテスト結果を参照
「テスト内容」
・PISAの評価基準である読解・数学・理科
これらを国ごとにテスト。
それぞれ男女のギャップがどのように変化したのかを調査しています。
分かりやすいのがこの図。
縦の軸は、ジェンダーギャップつまり男女のテスト結果の差を表します。
(国と数・理を合わせたもの)
横軸は国ごとの結果を表しています。
これだけだと何のこっちゃですが、これにテスト開始時のギャップ(灰色の値)を重ね合わせると…。
国のみ)
値が0より上の数だと、女性が好成績を収めている状態。
国語(読解)において、女性が優位だったものが長時間のテストの結果、男性優位になっている状態もあれば、その逆もあるという結果に…。
国語においてはどちらが優位だと決まった感じはありませんね。
数・理)
しかし数・理においては、テスト開始時は女性の成績が、明らかに男女ギャップ値より下にあります。
これは、テストを続けるにつれて、女性が男性の結果を追い越した、または同じような結果を出したということになります。
逆に男性は、その逆の数値になっていることも推測されます。
以上の結果から、女性は継続したテストにおいて男性よりも好成績を残すことができることが示されています。
考察
今回の研究は、PISAのテスト範囲である国(読解)、数学、理科の3つの科目においての実験になります。
子どもでも、女の子は左脳(考える力)が強く、男の子は右脳(直感的な力)が強いと言われています。
今回の研究も根幹にはその原理があるような気がします。
ではこれから外れた、技術的なパフォーマンスや単純作業のパフォーマンス、芸術的なひらめきはどうなのでしょう?
更に疑問が湧いてくる研究でした。
参考文献)
Females show more sustained performance during test-taking than males 2018年
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