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【世界に潜むラテン語㉖】菌の名前とラテン語

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【前回記事】

 

この記事は、書籍「世界はラテン語でできている」を読んで興味深かった内容について抜粋して紹介する記事です。

    

世界はラテン語でできている  Amazonより

     

この本は、古代ローマから用いられてきた言語が現代にどのように残っているのかについて書かれています。 

   

政治、宗教、科学だけでなく、美術やゲームなど幅いジャンルに浸透している言葉について知ることで、世の中の解像度が上がって世界が少し楽しくなるかもしれません。

    

今回のテーマは、“菌の名前とラテン語”についてです。

菌の名前とラテン語

〜引用&要約〜

前回ではウィルスと関係のあるラテン語についてまとめていきました。

 

今回はウィルスに続き、ミクロの世界で生きる生物である“細菌”とラテン語との関係について見ていきたいと思います。

 

まずは、発酵食品(乳酸菌)でお馴染みの“ビフィズス菌”からです。

 

 

ビフィズス菌

ビフィズス菌は、主に人間や動物の腸内に存在する代表的な善玉菌で、整腸作用や病原菌の感染への防御、腐敗物を生成する菌の増殖を抑える効果があると考えられている。

 

「ビフィズス」というのはBifidobacterium属に属する細菌の総称で、「ビフィズス菌」よりも「ビフィズス菌群」と言った方が正確かもしれません。

 

この「ビフィズス」という名前は、学名“Bifidobacterium bifidum”という菌の種に以前あてられていた学名“Bacillus bifidus”の後半部分です。 (bacillusはラテン語で「小さい杖」)

 

bifidusという言葉の語源はラテン語のbifidus(二叉の)からきていて、この語源が示すとおり、実際にこのBifidobacterium bifidumという菌はY字形になっています。

 

Bifidobacterium bifidum 

 

学名の意味を知るとその形状まで分かるものなのですね。

 

ちなみにbifidusのbi-は「2」という意味で、たとえば英語のbicycleは「“二”輪車」です(bikeはbicycleが短くなったもの)。

 

bifidusのfidusの部分は「分かれた」という意味で、英語のfissure(亀裂)と繋がっています。

 

また、nuclear fission(核分裂)のfissionも同じ語源です。

 

bifidus(ビフィズス)だけを見ても、色んな意味と関連しているのですね。

 

 

Aspergillus(アスペルギルス)

 

Aspergillusの語源はカトリックの儀式で使われる 「撒水器」を指すラテン語 aspergillumで、菌の形がこ の道具に似ていることに由来します。

 

A Western-style 「aspergillum」SCHREIBMAYR より

(↑振ると水が散る)

 

これらの他にも、食中毒の原因となる腸炎ビブリオの「ビブリオ (Vibrio)」は「振動する(vibro)」というラテン語が元で、これはこの菌の自動運動性からきています。

 

英語のvibration(振動)の語源は想像しやすいと思います。

 

最後に、ボツリヌス菌 (Clostridium botulinum)です。

 

「ボツリヌス菌」という名前は、以前の学名Bacillus botulinusに由来します。

 

botulinusuは「ソーセージの」 という意味のラテン語で、19世紀のヨーロッパでソーセージやハムを食べた人の間に起こる食中毒であったため、この名前が付きました。

 

現在では、ボツリヌス菌の増殖を抑えるために亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)が添加されることが多いです。

 

 

しかし、亜硝酸ナトリウムは毒性が強く、食肉に含まれるアミンという物質と結びつくことで、ニトロソアミン類という発がん性物質に変化することが知られているため、食べることはオススメされていません。

 

また、ボツリヌス菌においては、「一歳未満の赤ちゃんに蜂蜜を食べさせてはいけない」とよく言われます。

 

これは蜂蜜にボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあるからです。

 

大人であれば腸管の中に常在細菌が存在し、ボツリヌス菌が腸管に定着して増殖するのを防ぐことができますが、常在細菌がな い乳幼児の場合はボツリヌス菌の芽胞を摂取するとそれが腸管内で発芽あるいは増殖してしまい、中毒を起こすと考えられています。

〜引用&要約ここまで〜

 

細菌の名前を調べるとラテン語にたどり着くものが多くあることが分かりました。

 

ビフィズス菌のbifidusがY字形ということが分かると、菌の形自体も覚えやすいというのは興味深いです。

 

物事について分からなくなったら言葉の定義や歴史を調べるというのは、どの学問においても王道だと感じました。

 

少し話は逸れますが、亜硝酸ナトリウムを使っている食べ物は本当に避けた方がいいです。

 

主にベーコンやハムなどの加工肉全般に含まれ、発色剤などに使われていたりします。

 

発がん性物質だけでなく、腸内細菌に悪い意味で変化をもたらす物質であり、大腸がんが増えている主な原因の一つだと考えています。(個人的に)

 

こういった加工食品を控えるだけで、日本の医療費は大きく削減できると考えています……というのは行き過ぎた話なのでこの辺にしておきます。

 

ともあれ、腸内細菌の話題と合致しているのもまた面白い……。

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