【前回記事】
この記事は、書籍「世界はラテン語でできている」を読んで興味深かった内容について抜粋して紹介する記事です。
この本は、古代ローマから用いられてきた言語が現代にどのように残っているのかについて書かれています。
政治、宗教、科学だけでなく、美術やゲームなど幅いジャンルに浸透している言葉について知ることで、世の中の解像度が上がって世界が少し楽しくなるかもしれません。
今回のテーマは、“ゴディバのロゴとゴディバ夫人”についてです。
ゴディバのロゴの由来
〜引用&要約〜
前の記事では、バレンタインに関する逸話として聖ウァレンティヌスについて紹介しました。
聖ウァレンティヌスの話が本当かどうかは分かりませんが、2月14日のバレンタインデーが愛や恋にゆかりのある日として認知されるようになったことは確実です。
日本でバレンタインデーと言ったらチョコレート。
そして、そんなプレゼントのチョコに代表されるメーカーといえば「ゴディバ」ではないでしょうか。
実はこのゴディバには少しラテン語が関わっており、今回の記事で紹介したい内容となります。
以下にまとめていきます。
ゴディバのロゴをがどのようなデザインだったか覚えていますか?
「GODIVA」の文字の上に裸の女性が馬に乗っているというものです。
なぜ、このようなロゴになったのでしょうか?
これはゴディバ夫人という中世イングランドに生きた女性が由来となっています。
この物語は中世時代、ウェンドーバーのロジャーという人物によって書かれた“Flores Historiarum(歴史の花)”という年代記に記されています。
Flores Historiarum(歴史の花)
彼女はマーシアの地方長官レオフリックの夫人というかなり高い身分にありました。
ゴディバ夫人はコヴェ トリーという街の住民たちが重税に苦しむのを見て、住民の生活を楽にしてほしいと夫に頼み込みました。
最初は夫も妻の言うことを素直に聞き入れず、もうこの問題を持ち出すなと取り合いませんでした。
しかし、彼女はあきらめず説得を続けました。
夫はとうとう怒ってしまい、 このように妻に言い放ちました。
「Ascende equum tuum nuda et transi per mercatum villae ab initio usque ad finem, populo congregato, et cum redieris, quod postulas impetrabis.」
「裸で馬に乗って、人を集めて町の市場を端から端まで通り抜けよ。戻ってきたら、望みをかなえてやろう」
そこでゴディバ夫人は裸で馬に乗り、結んだ長い髪をほどいて体全体が隠れるようにして市場を通り抜け、家に戻りました。
そこで夫は約束通り、重税を免除することになりました。
Collier, John; Godiva; Herbert Art Gallery & Museum; http://www.artuk.org/artworks/godiva-55279
「歴史の花」が作られたのは13世紀であり、ゴディバ夫人(990〜1067年)が生きたとされる11世紀よりかなり時代の話です。
聖ウァレンティヌス同様、この話についても本当であったかどうかは疑わしいところがありますが、何百年にもわたり現代まで語り継がれたことで、 世界的企業のロゴにも採用されることになったのです。
〜引用&要約ここまで〜
ゴディバ夫人が町の人思い、恥を承知で行動したという美談ですね。
この話では、夫人が町を通るとき、恩を感じていた町民は皆彼女の姿を見ないように顔を伏せていたと言われています。
ただ一人、トムという男がゴディバ夫人の姿を盗み見したとして、後に「Peeping Tom(ピーピング・トム)」という言葉が「のぞき魔」の代名詞として使われるようになりました。
ピーピング・トム↓
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