【身近な化学⑦】どうして石けんで油汚れが取れるの?

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この記事では著書「身の回りのありとあらゆるものを化学式で書いてみた」から、興味深かった内容や身の回りの物質の性質を紹介していきます。

     

記事を読んでいただき、少しでも世の中の見え方が彩り豊かになってくれたら幸いです。

   

今回取り上げるテーマは“石けん”です。

  

手洗いは感染対策の基本中の基本であるアイテムですが、石けんにはどんな化学が隠れているのでしょう?

 

水と油の関係についても触れながら解き明かしていきたいと思います。

 

  

  

石けんの歴史

石けんがなかった時代、土などの汚れは擦って水で洗い流すなどの物理的な力で落とすことができました。

  

しかし油汚れを落とすのは一筋縄ではいきません。

 

水には溶けませんし、擦ったところで簡単に落ちるものでもありませんでした。

  

そんな時に現れた便利なアイテムが石けんです。

  

石けんの歴史は古代ローマまで遡ります。

  

  

かつてローマにサポー(Sapo)という丘がありました。

 

民衆はその丘にある神殿の神に対し、焼いた羊を捧げる習慣があったそうです。

  

ある時民衆は、焼いた羊の脂と木の灰が混ざった土でものを洗うと、油汚れがよく落ちることに気付きました。

  

この不思議な土を丘の名前にちなんで“ソープ(Soap)”と名付けられました。

 

これが石けんのはじまりであると言われています。

  

これは羊の肉に含まれる油脂の成分と、灰に含まれるアルカリ性の成分が反応したものでした。

  

ではどのような反応が起こっているのでしょうか?

 

化学の目で見ていこうと思います。

  

  

セッケンの構造

石けんは油脂水酸化ナトリウム(NaOH)を反応させて出来た分子です。

 

ちなみに科学の世界では石けんをカタカナでセッケンと表記されますが、ややこしいので今まで通り“石けん”と表記します。

  

石けんができる反応を見てみるとこのようになっています。

 

 

以前説明した油脂とリパーゼの反応に似ていますね。

  

水酸化ナトリウムが油脂にくっつき、石けん分子の出来上がりです。

 

ついでにグリセリン(C3H8O3)もできます。

 

古代ローマ時代の石けんは、羊の肉に含まれる油焼いた際にできた灰が混ざって出来た偶然の産物のようです。

 

  

石けんが汚れを落とす仕組み

  

では、石けんはどのようにして汚れを落としてくれるのでしょうか。

  

水と油はお互いに混じり合わないのはご存じの通り。

  

両方混ぜると上に油、下に水と分かれてしまいます。

  

塩が水に溶けるのは、塩(塩化ナトリウム)がプラスとマイナスの電気を帯びているため、水のわずかな電気に引っ張られてバラバラになるからです。

  

砂糖も同様にわずかに電気を帯びている水酸基をいくつも持っているため水に溶かすことができます。

  

はというと塩や砂糖のように電気をあまり帯びていません

  

下の図のように油は水素と炭素が多くくっついた物質です。

  

  

水素プラスの電気を帯びやすい原子ですが、そうなるためには条件があります。

  

それはマイナスの電気を帯びやすい原子と一緒のときです。

  

・プラスの電気を帯びやすい原子……水素H、ナトリウムNa

・マイナスの電気を帯びやすい原子……酸素O、塩素Cl、窒素N

・どちらでもない原子……炭素C

  

水素と炭素で構成されている油は電気を帯びにくくなるため、水と混ぜたとしても溶けにくいのです。

 

その代わりに油は似た構造を持つ他の油にはよくくっくきます。

  

この性質が石けんが油汚れを落とす仕組みと深く関係しています。

  

  

石けんの構造を見てみると、端っこの方にナトリウムと酸素が見えます。

 

これは塩NaClに近い構造なので、プラスとマイナスの電気を帯びやすく水に溶けやすいと言えます。

  

実際に石けん分子を水に溶かしてみると、水のわずかな電気によってナトリウムイオンマイナスの電気を帯びたそれ以外の部分に分解されます。

  

これで水と引き合う部分と、油と引き合う部分が明確に分けることができました。

 

もっと図を簡単にしてこのように表します。

  

  

これを使って油汚れを落とす原理を説明します。

  

以下に、お皿などに付着した油汚れを用意しました。

  

ここに石けんを溶かし込みます。

 

 

すると、石けんの油と引き合う分子が汚れの方を向いて包み込みます。

 

  

最後には汚れを包み込んで浮かすことで洗い流すことができるようになるのです。

  

なるほど、油を浮かすのは油の仕事なのですね!

  

水に溶ける性質と油と引き合う性質の両方の特徴を兼ね備えたものが石けんだということが分かりました。

  

 

まとめ

いかがだったでしょうか石けんの化学。

 

昔の人も良くソープの存在に気づきましたね。

  

先人の知恵が長い月日を経て解き明かされる……。

  

それもまた科学(化学)の面白さでもありますね。

  

ちなみに石けんが日本に伝わったのは16世紀、鉄砲の種子島が伝わった頃だと言われています。

  

その頃石けんは高級品であり、庶民が手の届くようなものではなかったそうです。

  

伝来当初は洗浄というより下剤など薬品として使われることが多かったそうです。

 

  

石けんなどの洗浄剤がない頃、庶民は米ぬかで体を洗うことがあったそうな。

   

米ぬかの酵素が油汚れを吸着したり分解したりしてすっきりできたといいます。

   

そんなところでも酵素の力が活躍していたのですね。

 

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