聖書において高位に存在していた大天使ルシフェル。
神が自分よりも人に対して愛を持って接していたことによる嫉妬や、自らの傲慢から神に叛逆したとされています。
神に背いたルシフェルはミカエルとの戦いの末地獄へ堕ち、サタンとして悪魔たちを支配することになります。
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今回のテーマはそんな地獄の支配者の代名詞ともなっている“サタン”に関する絵についてです。
作品はヨハン・ハインリヒ・フュースリの「ベルゼブブを呼ぶサタン」です。
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フュースリとサタンの絵
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サタンを描いたヒュースリは、画家の父ヨハン・カスパー・ヒュースリの第2子としてスイスに生を授かります。
父は息子を聖職者にするべく神学を学ばせていきました。
その通りにチューリッヒにて聖職者の道を歩んでいたヒュースリですが、あるとき政治的な働きによってスイスを追放されてしまいます。
ドイツ、イギリスと転々とした彼が辿り着いたのは、文化発展の地イタリアです。
ラファエロ、ミケランジェロ、文化を創造した様々な建物……。
8年に及ぶイタリア生活は、ヒュースリの感性を研ぎ澄ませるのには十分でした。
中世風の襲いくるような恐怖を表現や、神秘的な意識表現を会得したヒュースリは、自分の知識と空想を糧に様々な絵を仕上げていきます。
その絵の一つが今回紹介する“ベルゼブブを呼ぶサタン”です。
ヒュースリが描いたサタン
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この絵はサタンが高貴な人物として描かれています。
それまでのサタン(や悪魔)は人を悪の道に導くとして、醜悪姿として描かれることが多いキャラクターです。
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善い行いを導く聖職者と対比させて描かれ、一目で悪徳の象徴と分かるように表現されています。
しかしそんなサタンをヒュースリは英雄のように描いています。
悪魔の長を力強くかつ美しく描くのはヒュースリの頃からとされており、それ以降サタンの描かれ方は大きく変わっていきました。
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どれも壮大でまるで映画のワンシーンのような印象を受けます。
最強の敵にふさわしい、カリスマ性溢れ堂々とした姿に惚れ惚れしますね。
悪魔と言えど描き方一つでとても美しく魅せることを実感させられます。
ものも見方次第という新しい視点に気づかされる作品でした。
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