時空を超えた英知の終結~アテネの学堂~

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以前の記事にて、美術史における巨匠のひとり“ラファエロ”を紹介しました。

  

彼が描いたフレスコ画の中に“アテネの学堂”と呼ばれる作品があります。

アテネの学堂

ユリウス2世の命により、“人類の知と徳の全て”を表した絵がラファエロ・サンティによって描かれました。

  

この絵には歴史上に名を残した多くの偉人が登場しています。

  

今回の記事では、その中でも特筆すべき登場人物たちを紹介していこうと思います。

 

  

アレクサンドロス大王

La Scuola di Atene. D.R.

征服王と言われた支配者の中の支配者です。

  

ファラオ(エジプト王)プトレマイオス1世、セレウコス朝の始祖セレウコス、獅子殺しのリュシマコスなどを従えるほどのカリスマ性を発揮し、歴史上2番目に領地を広げた人物です。(1位モンゴルの支配者チンギス・ハーン)

  

布越しでも分かる腰のくねり具合がヘレニズム美術を想起させます。

 

  

ソクラテス

La Scuola di Atene. D.R.

哲学と言えばこの男は外せません。

  

ソクラテスが生まれる前か生まれた後かで分けられるほど哲学に影響を与えた人物です。

  

恨みを買い死刑が確定後でも、逃げることなく死ぬまで哲学をしていた男です。

  

アレクサンドロス大王と問答をしているようですが、果たして征服王に“ソクラテスの問答法”が通用するのでしょうか!?

 

  

ヘラクレイトス

La Scuola di Atene. D.R.

“万物の根源は火である”と考えた哲学者です。

  

気品があり堂々とした人物と言われていますが、友人が村の人々に迫害を受けたことから人嫌いになってしまいます。

  

周りから少し距離をとって自分の世界に入っている様子から、人嫌いの性格を感じられますね。

 

  

ゼノン

La Scuola di Atene. D.R.

自然法則に関係のない“感情や欲望”は幸福とは関係がないと考え、“欲を捨て徳を積む”ことで幸福を得られると考えた哲学者です。

  

この考えの派閥はストア派と呼ばれていました。

  

現在のストイックという言葉はこのストア派が由来です。

  

欲を捨て徳を積む姿は、正にストイックそのものですね。

 

  

エピクロス

La Scuola di Atene. D.R.

ストア派とは別の角度で幸福を追求した人物がエピクロスです。

  

エピクロス派が導き出した幸福とは、「快楽が存在し、苦痛が存在しないこと」でした。

  

腹が減ったら物を食べる、当たり前だがそれが幸福である。

  

でもいつも美味いものを食べているとそれが幸福と感じられなくなる。

  

だから普段は質素で誠実に生き(徳を積み)、欲するときに快楽を得ることが幸福の繋がると考えていました。

  

快楽主義者のことをエピキュリアンと言うのは、このエピクロス派が由来です。

  

…なぜか肩を揉まれていますね。

 

  

エウクレイデス

La Scuola di Atene. D.R.

ユークリッドの名で知られる幾何学の父です。

 

2000年以上にわたって多くの人に学び続けられる教科書“原論”を書き上げました。

  

一説ではこの人物はアルキメデスではないかと言われることもありますが、コンパスを使って幾何学模様を描いている姿から、ユークリッドだと推測されます。

  

何より、ラファエロが幾何学を象徴とする人物にコンパスを持たせないことがあり得ますでしょうか?

 

  

アルキメデス

La Scuola di Atene. D.R.

先ほどの人物がエウクレイデスだと分かれば、こちらがアルキメデスとして紹介できます。

  

アルキメデスは、現在では浮力として知られる“アルキメデスの原理”を発見した人物です。

 

この原理を応用し、王様の王冠の混ぜ物を見破ったエピソードも有名です。

  

人類ではじめて科学知識を応用したとされています。

  

また国の防衛担当であり、数々の兵器を生み出しました。

  

ピタゴラスの手記を見ながら、自分の研究に応用できないかを考えているように見えますね。

 

  

ヒュパティア

La Scuola di Atene. D.R.

アルキメデスの隣にいるのは、エジプトのアレクサンドリアで活躍した女性哲学者でありプラトニスト学校長です。

  

宗派の思想にとらわれず知を与える姿は正に教育者の鏡であり、国外からも彼女の講演を聞き来る人が大勢いました。

  

しかし、彼女に嫉妬した一部の勢力が火種になり、書くものためらうほど悲惨な最後を遂げました。

  

彼女が生き続けアレクサンドリアが反映していたら、今の科学はもっと進歩していたことでしょう。

 

  

ピタゴラス

La Scuola di Atene. D.R.

“万物は数字である”をモットーに教団を設立するまでに至ったカリスマ数学者です。

  

三平方の定理も彼の教団が発見したものとされています。

数は美しいという理念が先行し、分数でも表すことができない数(無理数)を発見した教徒を殺してしまうという話もあります。

  

教団の戒律では、そら豆には決して触れてはならず、言葉にすることも禁じていました。

  

結局それが原因で命を絶つというエピソードも面白いです。

 

  

ゾロアスター

La Scuola di Atene. D.R.

歴史上初めてと言われる一神教ゾロアスター教の開祖です。

  

唯一神アフラ・マズダを崇め、後のユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教に多大な影響を与えました。

  

1万2000年後に最後の審判が訪れ、善い行いをしたものが救われるという終末論もこのゾロアスター教が発端です。

  

自動車メーカー“MAZDA”は、ゾロアスター教の神アフラ・マズダ(Ahura Mazda)を由来としています。

  

 

  

プトレマイオス

La Scuola di Atene. D.R.

ゾロアスターと対面する、王冠を被り地球儀を持っている人物がプトレマイオスです。

  

古代天文学の集大成“アルマゲスト”を作り上げた天文学者です。

 

アリストテレスから続く天動説を計算によって説明しました。

  

彼の計算が完璧すぎたため、地動説を推す声は次第に減ることになってしまいます。

  

今では天動説こそ違うと証明されましたが、天動説を説明する際に使われた計算は三角法など発見など数学の発展に繋がる多くの影響を与えました。

 

  

ディオゲネス

La Scuola di Atene. D.R.

通貨偽造による国外追放(半ばとばっちり)、世界を放浪中に海賊に捕まり奴隷になる、犬のように何も持たない人生を送る…。

  

など波乱の人生を送った人物がディオゲネスです。

  

彼が所属したキュニコス派の“徳以外には何もいらない”という思想を彼なりに極限ま解釈し、犬と同じような生活を送るようになりました。

  

アレクサンドロス大王が彼の生き方に憧れるほど、自由で自然な生き方を貫きましTた。

 

市民からは結構愛されていたおじいさんです。

 

  

プラトン

La Scuola di Atene. D.R.

絵の中央を堂々と飾る二人のうちのひとりがプラトンです。

 

プラトンの哲学は、この世の理を外れた完全無欠の世界(イデア界)を中心に繰り広げられます。

  

我々の魂は元々イデア界に存在し、全てを知っていたと言います。

  

“この世に生を受けたと同時にそのことを忘れ去り、生きていくうちに思い出している”という考えです。

  

指を上に指しているのは、きっとイデア(天上)について話しているのでしょう。

  

ちなみにこの絵のプラトンのモデルはレオナルド・ダ・ヴィンチです。

 

  

アリストテレス

La Scuola di Atene. D.R.

中央の主役のもうひとりがアリストテレスです。

  

プラトンの弟子であり“万学の祖”と言われた人物です。

  

目で見て自分で経験した体験を大切にし、物事の事象や動物、昆虫などを根気強く観察した末に、世の中の多くを解き明かしていきました。

  

彼が解き明かした世の中の摂理は、物理学、天文学、気象学、生物学などの自然科学から論理学、倫理学、形而上学、政治学などの哲学に関連する分野を広く網羅しています。

  

二人は一体何を話しているのでしょうか。

  

プラトンは天を指さしながら「本質はイデア界に存在する」と主張をしていそうです。

  

対してアリストテレスは、手のひらを地にむけながら、「目の前の経験を大切にするべきだ」と話しているように見えます。

 

  

最後に

この絵に出てくる人物は時代も国もそれぞれ違います。

  

時空を超えて終結した英知の集合体ともいえる傑作です。

  

過去の偉人たちが顔を合わせて話している姿に色々思いを馳せることができる絵です。

  

絵画は語ると言いますが、それとはまた違った意味で彼らの会話が聞こえてくるようです。

 

この絵を紹介するために、あらゆる人物を記事にさせていただきました。

  

本当は絵にでてくるパトロンなども紹介しようと思いましたが、それはまた薄れてしまうかなと思い省略しました。

  

記事の完成はいつになるかと思いましたが、遂に書き上げることができたことが嬉しいです。

  

描いている途中もタイピングがとまらず、どの文章を削るかに悩むほど楽しい記事作成でした。

 

  

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