資本家は労働者を長く働かせる~資本論⑥~

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(↑前回記事)

 

前回は資本を生み出す労働について記事にしました。

  

資本論によると、資本とは増える貨幣のことであると言っています。

  

本来価値のやりとりは等価交換です。

  

しかし“労働力”という特殊な商品によって、等価交換という枠を越え、価値を増やす(剰余価値を生み出す)ことができることがでるといいます。

  

資本家はこの労働力を上手く使うことで資本を増やしていく…ということまでをまとめました。

  

今回は剰余価値に一歩踏み込んで、資本が増えるまでの過程について書いていきます。

  

   

労働過程

産業革命時の工場労働者

  

資本論による労働過程とは、役立つ生産物をどのように作っていったかの作業を言います。

  

古代から材料に人間の技術や能力を加え、役に立つものを作り出すという行為は繰り返し行われてきました。

  

このとき材料となるものを“労働対象”、使われる道具や機械を“労働手段”と言います。

  

労働対象と労働手段を合わせて“生産手段”と言います。

  

資本主義社会においても、労働過程は商品の使用価値を生み出します。

 

労働者はあらゆる生産手段を用いて商品を作りますが、その商品はすべて資本家のものになります。

  

生産したものは資本家の所有物になりますが、何かの役に立つもの(使用価値)を作るという行為資本主義以前と変わらないとマルクスは言います。

  

  

資本が増える秘密

資本家と工場で働く婦人

 

資本家のもとで行われるようになった労働は、必ず+αの価値(剰余価値)を生み出さなければいけません。

  

資本家が出した給料と労働者が生み出した価値が同じであったら、資本家の儲けがゼロだからです。

  

やっていることの本質が資本主義以前、引いては古代の生活と変わらないのに、なぜ資本は増えていくのか…。

  

その答えは労働者の働く時間を長くしているからだとマルクスは言います。

  

おもちゃ工場を例にします。

  

ある労働者は日給として6,000円が与えられる契約になっています。

  

彼は1時間に1,000円のおもちゃを5個作ることができます。

  

1時間で5,000円分のおもちゃを作りますが、実際には材料費や光熱費、設備費などを差し引きます。

  

そうすると1時間に1,000円分の価値を生み出すことができます。

  

日給が6,000円なので、6時間分働くことで給料に見合った働きをしたことになります。

  

ここまでを“価値形成過程”と言います。

  

資本家が価値の増殖を行うのはここから先の話になります。

  

資本家(雇い主)は、給料と同じ価値を生み出す6時間の労働だけで労働者を開放することはしません。

  

休憩の時間などを抜かすと、彼らが実質的に働くのは8時間程です。

  

こうすることで、2時間分の剰余価値を生み出すことが可能になります。

  

ここまでを“価値増殖過程”といいます。

  

そしてこの価値増殖過程があることで資本が増殖していくのです。

  

簡単に言うと、労働者を長く働かせた分が資本に上乗せされていくということになります。

  

  

変わる資本、変わらない資本

機械と人間

  

先程までをまとめると、マルクスは商品の価値は人間が汗水を流して働いたことによる賜物であると述べていました。

  

しかし商品を作るには、労働力の他にも原材料や商品を作る機械が必要になります。

  

そしてその材料や機械も、ひとつひとつを見てみると紛れもない商品に間違いありません。

  

商品である以上、もちろん価値もあります。

 

マルクスによると、労働はこれらひとつひとつ価値を移転し、新たな価値を持つ商品を生む力も持っていると言います。

  

服でいうと、布にも糸にもそれぞれ価値がありますが、その価値がそのまま服の価値になっているのではありません。

  

価値を移転する労働によって、“服”という商品に新たな価値が生まれると言っているのですね。

  

では服を作るミシンなどの機械はどうでしょう。

  

一度価値の移転をしたら終わる布や糸と違って、機械は何度でも繰り返し使うことができます。

  

マルクスはこの疑問にも答えています。

 

彼は、機械は労働者によって少しずつ新たな価値を引き出していると言っています。

  

10万円で服を作るためのミシンを購入したとします。

 

1年365日毎日稼働させたとなると、1日に約274円の価値が商品に移転されていることになります。(式 10万円÷365≒274円)

  

しかし、この価値の量は労働者の質によって変化します。

  

ミシンを全く使えない労働者であれば、価値の移転は1円もできません

  

逆にミシンの扱いに長けている労働者であれば、一日に274円以上の価値を生み出すことも可能です。

  

このように質や働く時間によって生み出す価値が変わる労働者のような資本“可変資本”という言葉で説明しています。

  

逆に、布や糸、機械や設備などの価値増殖しないものを“不変資本”と言っています。

  

 

まとめ

・労働過程=役立つものを作り出す過程

・労働過程によって生み出された商品は資本家のもの

・資本家は商品の価値+αを追求する

・+αは労働者が働いた時間

・働く時間や質で変わる、労働者のような資本を可変資本

・価値増殖しない分の資本を不変資本

   

以上、資本が増えるまでの過程をまとめていきました。

  

いよいよ資本家と労働者の関係が明らかになってきましたね。

 

労働時間の延長こそが資本を増やす上での重要な要素になっていることが分かります。

  

次回の記事では、ここまでのことを踏まえてマルクスが提唱した、“労働者が搾取される構造”に踏み込んでいきます。

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