【美術】黒く染まった勇気と美徳~ユディトとホロフェルネス~(HIDEにはとうこう)

芸術
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フランシスコ・デ・ゴヤ(1746~1828年)

美術カテゴリーは引き続き、フランシスコ・デ・ゴヤの黒い絵シリーズの紹介をします。

 

  

ユディトとホロフェルネス

ユディトとホロフェルネス(1819~1823年)

この絵は旧約聖書の外典に記されている“ユディトとホロフェルネス”を題材に描いた作品です。(ストーリーは記事中盤へ…。)

  

従者である老婆が手元の灯りでユディトを照らし、ユディトは軽蔑した表情で目線を下げ、剣を握っています。

  

返り血が顔にみられることから、ホロフェルネスの首を刎ねた直後であることが伺えます。

  

解釈のひとつとして、ホロフェルネス(王)を打ち取った描写は、当時のスペイン国王フェルナンド7世の王権の陥落を意味していると考えられています。

  

また別の解釈では、ゴヤ自身の性的不能(ED)を表し、ホロフェルネスの首を刎ねることは去勢の意味を表しているとも考えられています。

 

いずれにしろ、この絵は他人に見せるものではなかったものらしく、ゴヤの心の一部であったことが伺えます。

  

ちなみにこの絵は一階の扉を開けて真正面右側に飾られていました。

 

  

ユディトの物語

ユディトは夫を亡くした過去を持つ裕福な家庭に住むユダヤ人女性です。

  

ベトリアという名の町に住み、信仰深く、皆から尊敬される人間でした。

  

ある時アッシリアの勢力拡大において、協力的でなかった国を討伐して回っているとの噂が広がります。

 

彼女の住むベトリアも例外ではなく、”ホロフェルネス”という頭がよく切れ、力は獣のように強い司令官が差し向けられます。

  

ホロフェルネスの軍はベトリアを包囲し、降伏を促します。

  

水源を絶たれたベトリアは、ホロフェルネスに対して服従を決意しようとします。

  

失意の内にいる町の人をよそに、ユディトは一計を案じます。

  

彼女自身が敵の陣営に忍び込み、ホロフェルネスの首を取ってくると言うのです。

 

  

ユディトとホロフェルネス

作戦はその日の夜すぐに実行されました。

 

着飾ったユディトとひとりの老従者がホロフェルネスの陣営に近づくと、問答無用で拘束されてします。

  

普段なら尋問の末に処刑の対象でありましたが、美しい容姿に加え気品のある振る舞いからホロフェルネスのもとに連れ出されます

  

ユディトは、「あなたはベトリアの誰よりも男らしい。」とホロフェルネスを称賛し、老従者は「我々はあなた様に従います。」と服従の誓いをします。

 

ホロフェルネスは妖艶な彼女を前に、「共に分かり合おう」と護衛や見張りを引き上げるさせ、夜を共にする準備をします。

  

そして、ホロフェルネスが油断した瞬間、ユディトは彼の懐から短剣を奪い、瞬く間に首を切り落としたのです。

  

夜の間に司令官を失ったホロフェルネス軍は、降伏寸前のユダヤ軍の一転攻勢に敗れ去るのでした。

 

  

ユディトは人気の題材

気高く勇敢な彼女の姿は、悪徳に打ち勝つ勇気や美徳、謙譲の象徴として見られカラバッジョ、ジョルジョーネ、クラナハ…、多くの画家に好まれた題材でもあります。

  

それらと比べるとゴヤの絵は、勇気や美徳とは明らかに違うものと感じ取れます。

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