科学

オープンワールドゲームは短期的なメンタルヘルス向上に良い効果がある

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ウィッチャーやフォールアウトなど、TVゲームの技術の向上につれてオープンワールドというゲームジャンルが人気を博すようになってきました。

 

日本においてそのジャンルの筆頭として挙げられるのが「ブレス オブ ザ ワイルドやティアーズ オブ ザ キングダム」などでお馴染み「ゼルダの伝説シリーズ」ではないでしょうか?

 

自分は「メタルギアソリッドⅤ」を最後にオープンワールド系のゲームには触れていませんが、そういったゲームシステムがとても楽しめた覚えがあります。

 

今回のテーマはそんなオープンワールドのゲームがメンタルに与える影響についての研究です。

 

最新の研究によると、これらのゲームは私たちのメンタルヘルスに良い影響を与える可能性があることが明らかになりました。

 

以下にまとめていきます。

 

参考記事)

Open-World Games Like Zelda Can Boost Your Mental Health, Study Says(2025/01/06)

 

参考研究)

Open-World Games’ Affordance of Cognitive Escapism, Relaxation, and Mental Well-Being Among Postgraduate Students: Mixed Methods Study(2024/12/17)

 

 

オープンワールドゲームがメンタルヘルスへ与える影響

Open-World Games’ Affordance of Cognitive Escapism, Relaxation, and Mental Well-Being Among Postgraduate Students: Mixed Methods Studyより

 

ロンドンのインペリアル・カレッジとオーストリアのグラーツ大学の研究者たちは、600人以上の大学院生を対象に、オープンワールドゲームをプレイした経験と、その後の気分について調査しました。 

 

その結果、オープンワールドゲームは認知的な気晴らし(現実世界の思考からの解放)、リラクゼーション、そして全体的な精神的幸福感を向上させることが判明しました。

 

本研究は、ビデオゲームとメンタルヘルスに関する既存の研究に新たな証拠を示したと言えます。

 

例えば、ソーシャルメディアの使用はメンタルヘルスの低下と関連づけられることが多いですが、オープンワールドゲームはそのようなデジタルからくる負の影響への緩衝材として機能する可能性があります。

 

研究者たちは次のように述べています。

 

没入型環境を提供することで、精神的な気晴らしや感情的な解放、そして意味をもたらすこれらのゲームは、心理的および感情的健康を向上させるための貴重なツールとして役立つ可能性がある。

 

 

研究の方法と結果

【方法】

• 定量的調査: 標準化された質問票を用い、609名のオープンワールドゲームプレイヤーを対象に調査

• 平均年齢23.19歳(SD=2.19)の参加者(女性47%、男性50%)から収集

• 定性的調査: 32名を対象に、認知的逃避、リラクゼーション、精神的健康に関する深層インタビューを実施

• ゲーム例: 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』など

【結果】

• プレイヤーは、没入型ゲーム環境が現実のストレスから一時的に切り離される感覚を提供し、心理的ウェルビーイングが向上することを報告

• 非線形のゲームプレイや探索の自由度がリラクゼーションや精神的リフレッシュに寄与

• 認知的逃避がリラクゼーションに正の影響を与える

• リラクゼーションがプレイヤーのウェルビーイングスコアに正の影響を与える

• 認知的逃避→リラクゼーション→ウェルビーイングの間に強い媒介効果が確認された

 

 

結論

オープンワールドゲームは、認知的逃避を通じて大学院生のリラクゼーションと精神的健康を大きく改善することが示されました。

 

参加者たちは、「内面的な平和が増した」「日常の悩みを忘れることができた」「現実世界との切り替えができた」といった感想を述べています。

 

特に、これらのゲームが提供する自由度や没入感がストレス軽減において重要な役割を果たしていることが明らかになりました。

 

また、一部のプレイヤーは、ゲーム内で使命感を感じたり、人間的に成長したと感じたりしたと述べています。

 

この研究は、オープンワールドゲームが単なる娯楽を超えて、精神的健康に寄与する可能性があることを示唆しています。

 

 

今後の研究

 

ゲーム技術の進歩やスタジオの野心的な目標により、オープンワールドゲームはこれまで以上にスケールと複雑さを増しています。

 

場合によっては、プレイヤーに仮想世界での第二の人生を提供するほどです。

 

これらのゲームは通常、ミッションを含んでいますが、プレイヤーにそれを順番にこなすよう強制するわけではありません。

 

タスクを一定の時間内に完了するプレッシャーもなく、自由に実験や探索ができる余地があります。

 

適度にプレイする場合、ビデオゲームがストレスを軽減し、満足感を高める可能性があることも、オープンワールド型のゲームをプレイする利点でしょう。

 

今後さらに研究が進むことで、セラピストや医師が患者にゼルダの世界で時間を過ごすよう勧める日が来るかもしれません。

 

……というのは冗談ですが、研究者たちは次のように述べています。

 

これからの研究で、オープンワールドゲームがメンタルヘルスに与える影響を生理学的に測定することは、非常に価値があるだろう。

 

  

まとめ

・オープンワールドゲームは、認知的気晴らしやリラクゼーション、精神的幸福感を向上させる

・ゲームの自由度と豊かな仮想世界が、ストレス緩和や満足感の向上に寄与している可能性がある

・今後の研究で、さらに具体的なメンタルヘルスへの効果が明らかになることが期待される

 

参考記事中では、メリットが全面的に出されていましたが、研究のディスカッションでは「長期的な影響の可能性を測定することはできなかった」と述べられています。

 

中期的なストレス軽減とリラクゼーションは、必ずしも長期的には持続的なメンタルヘルスの利点につながるとは限らない点にも注意が必要であり、今後の研究での解明が待たれるところです。

 

一応、本研究においては任天堂などゲーム会社やその他の企業との利益相反はないものとしています。

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