科学

核爆弾が投下されたとき、建物のどこが最も被害が少ないか

科学

  

大国間で戦争が行われている中、核兵器の驚異も無視できない懸念事項となっています。

  

現在、ある程度の抑止力として働いている核兵器ですが、もし使用された場合、どのような行動を取れば被害を最小限に抑えることができるのでしょうか。

  

2023年2月25日にINSIDERに掲載された記事を参考にコンパクトにまとめていきます。

  

参考記事)

Sheltering miles from a nuclear blast may not be enough to survive unless you know where to hide, new calculations show(INSIDER)

You Might Survive a Nuclear Blast if You’re in This Kind of Shelter, Finds New Study  (Science Alert)

  

参考研究)

Nuclear explosion impact on humans indoors

  

  

安全なのは爆心地から4㎞以上離れた窓ない部屋

I. Kokkinakis and D. Drikakis, University of Nicosia, Cyprus

  

キプロスのニコシア大学の研究チームは、核爆発が起こった際、屋内のどこに避難するのが適切かをシミュレートしました。

  

750キロトンの原子爆弾による核爆発を想定し、これは、広島型原爆の約50倍(15キロトン)長崎型原爆の約30倍(25キロトン)の規模となっています。

  

核爆弾が爆発すると、目が眩むような明るい光と灼熱の熱波、そして放射線が強力な衝撃波と共に発生します。

  

熱波から十分な距離にいる人々にとって、致命的なものは衝撃波です。

  

この規模の核弾頭は、約4km以内の全てのものを破壊する威力がありますが、それよりも遠くにいる人であれば、頑丈な建物の適切な場所に避難していれば、生き残ることができる可能性があります。

  

高度な流体力学と過去30年間の理論、実験データを基に、4km〜48km(2.5マイル〜30マイル)の距離にある建物に対し、衝撃かがどのように移動するのかを計算しました。

 

安全とされる場所は、爆風から最も離れた建物の半分より向こう側かつ、窓がない部屋です。

  

研究メンバーのIoannis W Kokkinakis氏は、「もし、爆発に直面している正面の部屋であっても、幕府に面した壁の角に身を寄せることで、高い対気速度から安全に身を守ることができる」と語っています。

  

逆に、避けなければならない最も危険な屋内の場所は、窓廊やドアです。

  

I. Kokkinakis and D. Drikakis, University of Nicosia, Cyprus

  

出入口や廊下などの建物内の狭いエリアは、衝撃波を通す風洞のように機能していまい、その威力は人間の体重の18倍にも達し、骨を簡単に砕くことができるほどの威力になると報告されています。

 

またこの研究に対し、オレゴン州立大学の放射線生物学教授Kathryn Higly氏は、「論文が指摘しているように、爆風が近すぎるとできることはあまりありません。しかし、離れた場所では、建物の構造物、特に石やコンクリート、またはその他の丈夫で不燃性の材料によって、ある程度の保護が可能です」と語っています。

  

この研究によって、人の生命や資産を保護するための建物やシェルターの構造へ貢献できることや、原子力発電所などの事故に対する対策の改善が期待されています。

  

なお、研究は、核爆発後の放射性降下物や残留する放射線の影響などを考慮するものではなく、その場を生き延びる最善手を導き出すものとしています。

 

  

まとめ

・750キロトン(ロシアの大陸間弾道ミサイル“Sarmat”を想定)の核爆発では、4㎞以内にいる場合為す術がない

・それより離れた場所にいる場合は、爆風から見て建物の半分より向こう側の窓がない部屋が適切

・木造ではなく、レンガなどの不燃性で丈夫な建物が理想

  

今回は簡単に参考記事内の内容をまとめましたが、気になる方はリンク先の研究なども読んでみてください。

 

こんなことを考えなくても良いというのが理想ですが、長引く戦争によって今後どうなるかは予測ができません。

 

少しでも早く平和な時代が訪れるといいですね。

 

ちなみに広島型原子爆弾(15キロトン)では、およそ0.68gの質量がエネルギーに変わったと言われています。

  

そんなエネルギーの式についてまとめた記事もあるので、気になる方は覗いてみてください。

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