科学

魚は鏡で確認しながら寄生虫を取り除くことができる

科学

 

  

チンパンジーなどの頭脳があると考えられている動物は、鏡で自分の顔を認識することができるとされています。

  

しかし、脳がはるかに小さい一部の魚も、自分の顔を認識することができることが、研究にて、分かってきました。

 

今回はそんな動物の認識能力について、Science Newsの記事から引用していきます。

 

引用記事)

Fish can recognize themselves in photos, further evidence they may be self-aware 2023年2月6日 Science News より

  

引用論文)

Cleaner fish recognize self in a mirror via self-face recognition like humans 2022年

If a fish can pass the mark test, what are the implications for consciousness and self-awareness testing in animals? 2019年

 

  

クリーナーフィッシュと鏡の実験

アトランタのエモリー大学Masanori Kohda教授は以前、顔や体の一部に印をつけた動物を鏡に晒し、そのしるしに気づくかどうかを確認する実験を行ないました。

  

その実験では、チンパンジーや大型の猿、イルカ、ゾウ、カササギを含む一部の脳の大きな種のみがテストに合格しました。

 

今回行なった実験では、クリーナーフィッシュに対し、同様の実験を行ない、彼らが自分の顔を鏡で認識することができることを明らかにしました。

  

ミラーテストに合格した10匹の魚は、自分の顔の写真と、そうでない同じ種の写真を見せられました。

  

全ての魚は自分の顔に対しては特に反応を示しませんでしたが、別の魚の写真に対しては攻撃的でした。

  

また、これに先立つ研究として2019年と2022年に行ったミラーテストでは、野生で捕獲されたクリーナーフィッシュを水槽を分け、一週間鏡のある水槽で生活をさせました。

 

その後、魚の皮膚に寄生虫に似せた茶色のマークをつけたところ、マークされた魚は鏡で自分の姿を見た後、水槽の底の岩や砂に体を叩き始め、寄生虫マークを擦り落とそうとしました。

  

研究者たちは、鏡の中の反射を認識する動物は、鏡の中の動物の動きが自分の動きと一致することを理解することによって、鏡に映った姿が自分だと学ぶのだろう、と考えています。

  

Kohda教授の研究室では、クリーナーフィッシュの脳で何が起こっているのかを引き続き調査し、gasterosteus aculeatusなど他の手でどのような反応が起こるかを調査していくとしています。

  

gasterosteus aculeatus

  

また、複雑な認知能力を持つカラスや、自分の体のマークに対して注意を払いにくい豚などの動物もいることから、鏡で自分を認識することが必ずしも動物の自己認識の有無を決定付けるものではないとも考えられいます。

 

今後、動物がどのような方法で自分を認識しているのかを明らかにすることが期待されています。

  

まとめ

・一部の動物は鏡で自分の姿を認識することができる

・比較的な脳の小さいクリーナーフィッシュも同様に鏡を認識することができる

・他の動物でもどのように自分を認識しているのか研究が進んでいる

  

以上、動物と鏡の認識能力についての話でした。

 

2019年の研究までは、鏡を認識できるのはチンパンジーやゾウなどの大型の脊椎動物とされていました。

 

クリーナーフィッシュ(ホンソメワケベラ)が鏡を認識できると知られてからは、その概念が大きく覆され、我々が考えている以上に動物の認識能力が高いことが分かってきました。

  

これによって動物の行動をコントロールすることが可能になり、生態系の管理や種の存続に貢献できるかもしれません。

  

また、脳の発達や神経回路の解明によって、動物の進化についても新たな発見があることも期待できます。

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