科学

たくさん噛むと起こる9つのメリット

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今回は咀嚼に関する論文要約記事!

 

「よく噛んで食べましょう。」という言葉は誰しも一度は耳にしたことがあるかと思います。

 

噛み砕いて固形物をペースト状にすることで腸での吸収をしやすくすることなど、イメージでは何となくプラスのイメージが湧いてきますね。

  

日本補綴(ほてつ)学会は、そんな噛むことについての論文約370のらまとめた内容をまとめています。

 

この記事ではそれらの論文のまとめを基に、健康効果やアンチエイジングなど噛むことによる人体への影響について興味深かったものをピックアップしていきます。

に関して興味深い文献があったので先に紹介します。  

  

今回は、その中でも取り上げられていた「噛むことのメリット」についてお伝えします。

参考文献)咬合・咀嚼が創る健康長寿

  

  

1.顔周りの発達、代謝促進

噛むことによる閉口筋の収縮により代謝エネルギーや血流の増加。

  

組織の代謝を促進して肌のターンオーバーにもつながります。

  

また、噛まなすぎは口周りの筋肉を弱め口呼吸を誘発。

  

「アデノイド顔貌」「睡眠時無呼吸症候群」など口呼吸による障害を引き起こす原因となる可能性も示されています。

出典https://sportsbull.jp/p/377192/

 

  

2.消化作用や脳細胞の修復

唾液にはアミラーゼが含まれることは有名なことです。

 

咀嚼は消化の第一歩で、噛む程にアミラーゼなどの消化酵素が多く分泌。

 

胃や腸でも消化の準備ができ、円滑な消化活動が行われるようになります。

  

更には消化管から分泌されるホルモンが食欲を調節したり、脳内に放出される線維芽細胞成長因子(FGF)損傷した脳の細胞を修復したりします。

  

※これらの分泌は咀嚼だけでなく、「美味しい」などの快感が伴わなければならず、食物の美味しさを感じられる状態が条件となるようです。

  

 

  

3.健康予防とアンチエイジング

唾液中の酵素やタンパク質である

・リゾチーム
・アミラーゼ
・ペルオキシターゼ
・スーパーオキシドディスムターゼ
・ラクトフェリン
・唾液免疫グロブリン Ig A 

は抗菌&殺菌作用を持ちます。

  

ペルオキシターゼスーパーオキシドディスムターゼ老化の原因となる活性酸素を除去し、多くの発がん物質の変異原性をほとんど消去して発がん性を抑制します。

  

ラクトフェリンは身体各部で抗菌作用を発揮します。

  

特にラクトフェリンは、ウィルスを直接攻撃する NK (ナチュラルキラー)細胞を増殖させ、抗ウィルス作用を発揮します。

 

  

4.栄養吸収の促進

抗酸化作用のあるビタミン類。

  

特にビタミンC代謝が早く、食べ合わせや調理法によってすぐに破壊されてしまいます。

 

ビタミンの入った食べ物を噛むことを意識すると口腔粘膜から吸収が始まり、サプリ等の錠剤と比べて約3倍も吸収率が上がったという結果が報告されています。

  

このことを応用して経口ワクチン等も作られています。

  

出典https://www.selfdoctor.net/q_and_a/2018_05/06.html

 

  

5.脳の活性化(老化抑制)

ラットの実験では、柔らかい食事を与えたラットは学習障害と記憶障害は発生し硬い食事を与えたラットは、脳の活性が持続する旨のけ研究結果が示されています。

出典抜粋)Soft-diet feeding decreases dopamine release and impairs aversion learning in Alzheimer model rats.

 

また、入れ歯をせずに食事をしていた高齢者ほど歩行能力の低下が見られ、死亡率も高かった結果も示されています。

  

 

 

6.肥満による生活習慣の改善と抑制

同じエネルギー量の通常食と軟性・液体食を経口摂取にて動物実験したところ、通常食のみ、神経ヒスタミンの活性が確認できました。

 

ヒスタミンは肥満などによるエネルギー過剰状態下だと、食欲抑制脂肪分解作用など身体を肥満から普通の状態に戻そうとする効果を発揮します。

  

臨床研究では、咀嚼回数が少なく早食いであるほど肥満児であることや、成人の健康診断では、咀嚼回数が少ない、一口の量が多いほど肥満であると、咀嚼と肥満の関係が示唆されています。

 

また、お米を含む食事の一口の咀嚼回数を30~40回程度にすると、血糖値が高い時間を短くでき、活性酸素から身体を守る手段にもなります。

出典抜粋)過体重者の摂食行動と身体活動状況に関する研究

  

 

  

7.運動能力の向上&維持

小学生を対象とした10年間の追跡調査によると、噛む力が弱いと早食いに、逆に強いとしっかり噛むことが多く、運動能力も高い傾向がみられています。

 

また高齢者に至っても、咀嚼能力が高いほどバランス感覚や握力など、運動に関係する能力が高いことも分かっています。

 

噛む力が力むときのパワーに比例するのと同じようなものなのでしょうね。

  

 

  

8.疼痛(ズキズキする痛み)の緩和

柔らかい食事から硬い食事へ変更したラットの実験では、硬い食事をしたラットは炎症等の慢性的な痛みを和らげる反応があることが分かりました。

 

ヒトによるデータでは、20分間のガム咀嚼は気分、覚醒、姿勢筋、抗重力筋の増強に関与するセロトニン神経系を刺激し、さらに疼痛も緩和してくれることが報告されています。

出典抜粋)Hard-food mastication suppresses complete Freund’s adjuvant-induced nociception.

  

出典https://www.ism.life/contents/977

 

  

9.子供における学習能力の向上

不十分な咀嚼は、
・ドーパミンやノルアドレナリンの代謝
・前頭前野のワーキングメモリーの機能障害
・セロトニンが関与する神経細胞の機能障害
に相当影響しているものと推察されます。

  

充分な咀嚼や睡眠の習慣が前頭前野の発達を促し、
・読みや計算
・創造
・思考
・意図
・判断力
などを育てていきます。

 

また朝食の時間をきちんととる家庭の子は、いずれの教科においても成績が良い傾向がみられます。

  
(ただ、成績UPの要因が食事の内容なのか、家族とのコミュニケーションの多さなのか、咀嚼によるホルモンの影響なのかまでは細かく分析されていませんが、朝食の時間が子供の成績を伸ばすきっかけになっているようです。)

出典咬合・咀嚼が創る健康長寿 

 

  

10.その他

今回は高齢者向けの嚥下障害や疾患予防、リハビリ関係の内容は省きましたが、咀嚼をすることによってQOL(生活の質)やADL(日常生活活動能力)の向上が認められます。

  

子供から高齢者に至るまで、噛む行為は健康を維持するうえで欠かせないものなっていることが分かります。

  

 

健康に必要な咀嚼の4条件

咀嚼と言ってもどれくらいの量をどれくらいのペースで食べれば良いのか…?

この項にてお伝えします。

  

【条件①食品添加物を控えた歯ごたえのある食事】

イカの刺身や丸焼き、キャベツやブロッコリー、ごぼうや油揚げなど、嫌でも噛まなければならない食材を使った料理がオススメです。

  

【条件②姿勢正しく食べる】

咀嚼時の姿勢は少なくとも上半身を直立させた状態で食べること。

腰痛の予防になったり、背中の筋肉も鍛えられてスタイルが良くなったりもしますし、意識的に姿勢を正したいですね。

  

【条件③一口8gを30回】

・一口⇒数g~8gが目安(おかずも含めて)

・噛む回数⇒30回以上

・時間⇒30秒程度

大体1秒に1回は噛む計算ですね。

噛む回数については最低でも30回なので、もっと噛めるなら噛むだけ良いようです。

(これは自分の推測ですが、「顎が疲れるな~」ってくらい咀嚼すれば基準クリアだと考えています。)

  

【条件④美味しく感じる】

異なった歯ごたえや風味などを感じることができる経験を積むことも重要。

お菓子ファストフードなどを食べ過ぎると、舌の感覚が濃い味に慣れてしまい、手作りの料理などでは物足りなく感じる事が多くなります。

一番の特効薬はお腹を空かせること。

プチ断食ファスティングの後の食事はお米だけですら美味しく感じられます。

そこまでしなくても、空腹の状態から一歩我慢するだけでも美味しさは倍増しますしね!

また、可能な限り会話をしながら食事をすると、美味しい食事を食べたことと同等の効果があります。

子供がいる家庭では、どれだけコミュニケーションをとれたかがそのまま子供の地頭強化に繋がるので、積極的に会話を楽しむべきだと思います。

  

【EX】

これらが十分に満たせない場合は、ガムでの代替も可能です。

実験でも度々ガムが使われていましたね。

(添加物の入っていないガムが欲しいものですが中々ないですねぇ…)

 

  

終わりに

いかがでしたか咀嚼の力!

  

たかが噛むこと、されど噛むこと。

 

顔の形からホルモン分泌、果ては脳細胞の修復までスイッチが入る咀嚼。

  

ますます意識していきたいですね。

 

参考文献)

エネルギー代謝調節における神経ヒスタミン機能

口腔が健康状態に及ぼす影響と歯科保健医療

Soft-diet feeding decreases dopamine release and impairs aversion learning in Alzheimer model rats.⇒またはGoogle検索

過体重者の摂食行動と身体活動状況に関する研究 

リンクの生きていない文献は、そのままコピペすれば検索できます。
(PDFによってはリンクが貼れないものがあるみたいです…)

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